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明知大学校:2022年9月〜2023年6月(人文社会科学部3年生)

明知大学校
2022年9月〜2023年6月(人文社会科学部3年生)

留学報告

所属 人文社会科学部国際社会コース
留学開始時学年 3年
留学先国名 韓国
留学先大学 明知大学校
留学先所属 日語日文学科
留学期間 2022年9月〜2023年6月(1年間)

 

 

出発前の準備

ビザの有無
ビザの種類 D-2-6
その他必要な事前手続き 寮に入りたい場合は、留学先大学が定めている期間内に申請、送金をしないといけない。また、留学先大学に航空券の添付が必要だった。
必要経費
渡航費 約7万円
海外旅行保険 約8万円
その他  

 

 

留学中の生活

履修した授業 日語日文学科の科目:メディアの中の日本文化と日本語、日本語実務プレゼンテーション、論理論述日本語、日本人の言語生活、グローバル日本企業研究、日本語表現の理解、日本語教育論、日韓翻訳入門、日語学の理解
教養科目:韓国語ライティング
留学生専用科目:韓国語ライティング
授業の様子・アドバイスなど 基本的に韓国人学生と同様の授業を受けるため、予習・復習は必須になる。事前に教授が提示してくれた資料に目を通し、翻訳作業をすることで授業内容を頭に入れると理解しやすい。韓国の学生は勉強熱心な人が多いが、留学生は彼らよりも倍以上の勉強時間が必要になるため、テスト勉強もテスト期間前から計画的に行うことが大切だと感じた。
課外活動 日韓サークルに参加
生活費

住居費
(大学寮、アパート賃料など)
(1ヶ月あたり)

約3.5万円
食費(1ヶ月あたり) 約2万円
教科書代 1科目あたり2〜3千円程度
通信費・交際費など(1ヶ月あたり) 約1万円
住居
住居の種類 大学の寮
住居決定の方法 留学先大学による紹介
住居全般に関するアドバイス 寮の部屋割りは、留学生は留学生同士、韓国人は韓国人同士で組まされるため、韓国語を専攻していても、英語専攻の外国人留学生とシェアしないといけない場合がある。私の場合、英語専攻のフランス人と2人部屋だったため、意思疎通が大変だった。
留学先での交換留学生に対するサポート

日本語学科があり、日本語が上手な学生が日本人留学生を担当してくれていたため、意思疎通がしやすかった。

健康管理面のアドバイス

 

 

学習面/生活面でのコメント・アドバイス

学習面

韓国語の習得は勿論、明知大学の日本語学科に留学したことで、韓国での日本語教育現場を体験でき、多くの気づきを得た1年だった。また1年間で、韓国語専門の授業を2科目、日本語学科の専門授業を9科目聞き、単位を取得することができた。
韓国語専門の授業では、日本以外からの留学生と共に韓国語を基礎から学び、外国人学習者が間違いやすい誤用を中心に効果的な学習ができた。また、留学前の目標が「韓国語のライティング力の向上」だったため、ライティング専門の授業を受講し、文構成や接続詞の使い方を1から学んだ。その結果、今年の春に受講したTOPIKでは、ライティングを克服し目標の6級を取得することができた。
日本語学科の授業では、現地の学生に混じり「日本」、「日本語」を韓国人の視点で聞いた。特に印象的だった授業が、「日本人の言語生活」と「日韓翻訳入門」の2科目である。「日本人の言語生活」では、日本語の言語的特徴と日本人の言語発想法を推測し、日本人の言語生活全般における思考傾向を考えた。主に、日韓における「個人領域の差」を中心に日常生活で起こりうる文化摩擦についてディスカッションを行った。「家族・友人関係においてどこまで踏み込んで良いのか」、「日本人が感情をあまり表に出さないのはなぜか(デモ活動、お葬式など)」、「親友に物を借りる時一声かけるか否か」など、個人差はあるが国としての特徴を話し合い、各国の思考傾向を学んだ。韓国人の学生とこのような話題について意見を言い合うことで、日本での「当たり前」が「当たり前ではない」ということに改めて気づかされた。また、この授業は日本への留学経験のある教授が担当していたため、韓国人として日本で生活する中で感じたカルチャーショックや日本の親切さを聞く良い機会だった。
「日韓翻訳入門」では、各言語における単語や表現に伴う意味と深さを学び、正しい翻訳法で多様な日本語の文章の韓国語に訳する方法を学んだ。韓国語を日本語にするのではなく、日本語を韓国語に訳す作業の為、想像以上に難しく苦戦した授業だった。川端康成の『雪国』や村上春樹の文学作品を題材に、作品内の独特な日本語の表現を韓国語に訳すための「考え方」について学んだ。また、翻訳を行う際、翻訳される前の言語(外国語)を学ぶことも重要だが、翻訳後の言語(母語)の表現の豊かさを持ち合わせることで初めて翻訳家としての役割を果たすということも学んだ。その他にも、日本語学科の授業はどれも興味の沸くものばかりで、常にアウトプットとインプットを行いながら参加することができた。まさに留学でしか味わえない貴重な時間だったと思う。

 

生活面

ソウルには今まで何度か行ったことがあり、韓国での生活が自身と合っていたため1年を通して楽しく様々な経験ができた。また、アルバイトや趣味のダンススクール、ジムなどに通い、学校外でも沢山の友達作ることができた。学科の授業では、韓国人学生がほとんどだったが、寮ではルームメイトがフランス人留学生だったため、フランスの文化を学ぶ良い機会だった。韓国の生活は日本とあまり差がないが、フランスとは「衣食住」が大きく異なるため、互いの文化を尊重しつつ生活することの難しさと異文化に触れる楽しさを感じた。また、ルームメイトは英語専攻で留学しており、韓国語が一切喋れなかったため、英語を学び始めるきっかけにもなった。寮の学生は、ほとんどが留学生だったため、様々な国の学生と出会うことができた。また、日本語学科が主催する日韓サークルに参加したことで、他学部の日本人留学生や正規留学生とも仲良くなり、様々な県出身の友達を作ることができた。日本人留学生の集まりは、日本語が通じることで安心感を抱くと同時に、日本人の中でも「方言」や「地域差」を感じる不思議な空間だった。
日韓サークルは、韓国人の学生と日本人留学生がグループに分かれ、月に1回グループごとに観光地を訪れるというものである。遊園地や市場、景福宮だけでなく、西大門刑務所歴史館にも案内してもらい日韓の歴史問題についても学んだ。日本人だけでは行きにくい場所を韓国の学生が日本語で案内してくれたことで、私たちも更に理解を深めることができ、日本では伝えられていない悲惨な過去を痛感した。日韓交流では明るい面にのみ注目してしまいがちだが、日韓関係において避けることのできない歴史問題や政治問題についても学び直す機会となった。
長期休みには、地下鉄や飛行機に乗り釜山や済州島といった地方に行き、各地域の特色を楽しんだ。特に釜山を訪れた際、慶尚道方言のイントネーションの強さに興味を持ち、卒業論文のテーマに繋げることができた。元々専攻していた日本語教育と、この経験を活かし、テーマを「韓国人日本語学習者の発話における方言の干渉-ソウル方言話者と慶尚道方言話者を対象に-」とし、実際に日本語学科の生徒を対象とした録音調査を実施することもできた。
留学前は、感染症の拡大や、「4年生前期までの留学」による卒業への不安など心配が大きかったが、交換留学を通して大学生活を満喫することができ自身の成長に繋がる濃厚な1年だったと感じる。

 

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