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黒潮圏科学とは?

 黒潮圏総合科学専攻および黒潮圏科学部門では,黒潮そのものでは無く,「黒潮圏科学」という新しい学問を打ち出し,自然と人間の共生を目指す教育・研究を進めています。「黒潮圏科学」における広義の黒潮圏域は,自然やそこに住む人々の活動及び諸問題を含んだ全体を指し,それらは黒潮で結ばれた運命共同体です。ここでは,一見別々に起こる諸問題から,根本的な因果関係を明確にし,私たち人間の今後のあり方や悪影響に対する予防策を考えます。そのためには,専門分野を越えて分析し,問題解決の道を探ることが必須であり,「黒潮圏科学」は,細分化した従来型の学問ではなく,文理融合した新しい学問分野として創出されたのです。それぞれの分野に関する高度な専門知識を持つとともに,異分野の知識・視点を磨くところ,それが,黒潮圏総合科学専攻・黒潮圏科学部門です。

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専攻長からのメッセージ

 2004年,高知大学全国初の文理融合型の博士課程独立研究科として「黒潮圏海洋科学研究科」が誕生しました。その概念や教育・研究活動を足掛かりにして,2008年に高知大学大学院は修士課程および博士課程を併せた「総合人間自然科学研究科」へ全学的に一元化され,「黒潮圏海洋科学研究科」は「黒潮圏総合科学専攻」へと改変されました。これを機に,学内兼担として協力いただいていた教員や海洋生物研究教育センターや海洋コア総合研究センターの教員等も専任教員として加わり,カバーする専門分野が広がりました。また,2009年度には人間科学コースが設置され,その後も2010年度に開始された「イノベーティブマリンテクノロジー研究者養成」事業で採用されたテニュアトラック教員や2016年度の農林海洋科学部改組により採用された教員の参加により,現在に至っています。

 「黒潮圏海洋科学研究科」および「総合人間自然科学研究科黒潮圏総合科学専攻」では,「学際性」および「国際性」を教育研究の柱として,多くの博士課程の修了生を輩出してきました。また,この理念を修士課程に展開するため,「黒潮圏総合科学準専攻プログラム」を設置しました。2007年度より,台湾やフィリピン等の関連大学や機関と毎年開催している「黒潮圏科学国際シンポジウム」時の,若手研究者の情報交換や問題意識の共有を主な目的とした「クロスボーダーエデュケーション」企画の開催や2014年度に開始された日本・アジア青少年サイエンス交流事業(JST)「さくらサイエンスプラン」による毎年若手研究者の招聘など,正課外の「学際的」かつ「国際的」な教育活動も継続して実施しています。

 2014年度からは,国費留学生優先配置プログラム「黒潮圏の持続型社会形成を目指す人材育成プログラム」により,5ヵ年度にわたり毎年3名の博士課程留学生をフィリピンから受け入れ,様々な専門分野の学位研究を通じ,「沿岸域の総合管理」を担う高度専門人材の育成の育成を行っています(2021年9月に5年目の入学性が修了予定)。また,2020年度には,国費留学生優先配置プログラム「黒潮圏の持続的地域社会を牽引する人材育成プログラム」が開始され,3ヵ年度にわたり毎年3名の博士課程留学生を再びフィリピンから受け入れ,「沿岸域の総合管理」を担うリーダーの育成を行なうことになっています。2019年度には,このプログラムを通じて,高知大学で共に学んだ修了生を中心とした同窓会組織「PHILJAPKUS(Philippines-Japan Association for the Kuroshio Science Promotion, Inc.)」の設立に至っています。

 2016年度の農林海洋科学部の改組時に海底資源環境学コースおよび海洋生命科学コース新設により拡大した海洋資源科学科における「総合的海洋管理」教育の推進,修士課程の設置について,高知大学特別プロジェクト「4次元統合黒潮圏資源学の創成」プログラム内の海洋人材育成班としての活動などを通じて実践しています。「海洋資源科学」および「沿岸域の総合科学」を中心として高度人材の教育拠点としての「黒潮圏総合科学専攻」にご期待ください。

(専攻長:久保田 賢)

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部門長からのメッセージ

 教育研究部が組織された2008年4月に黒潮圏科学部門は20名の教員で発足しました。自然との共生を目指すという理念を黒潮圏総合科学専攻と共有し、教育と研究の密接な連携により、黒潮圏科学の確立を進めてきています。

 黒潮圏科学の国際的な議論の場として、黒潮圏科学国際シンポジウムは、組織改正前年の2007年に第1回が高知大学で開催され、以降日本(高知大学)、台湾(中山大学ほか)、フィリピン(ビコール大学ほか)が持ち回りで開催しています。3か国のほかに、マレーシアやインドネシアなど東南アジアの国からの研究者も議論に参加しています。第14回のシンポジウムは、2020年に高知大学で開催する予定でしたが、コロナ禍によりかなわず、延期になりました。

 Kuroshio Science/黒潮圏科学も2007年に創刊され、査読システムを備えた学際的なジャーナルとして、継続的に発行されています。年度に2回の発行で、1号は英文のみ、2号は和文中心という形が確立されています。

 黒潮圏科学は自然との共生により、持続型社会の構築を目指しており、国連が掲げたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の2030年までの達成に大きな貢献が期待されます。

(部門長:寄高 博行)

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