環境中に存在する抗うつ薬 ~ヒトと魚類に対する感受性の比較~

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東京理科大学
高知大学

東京理科大学 先進工学部 生命システム工学科の宮川 信一教授、高知大学 農林海洋科学部 農林資源科学科の井原 賢教授らの共同研究グループは、メダカとアユから抗うつ薬の標的であるモノアミントランスポーター(MAT, *1)の遺伝子を単離・解析し、ヒトではMATを標的としない医薬品の中にも、魚類のMATに対しては阻害効果を示すものがあることを明らかにしました。

ヒトが使用した抗うつ薬などの医薬品は、下水処理でも完全に除去はできないために河川などに流出し、環境中に広く存在する汚染物質として水生生物に影響を与える可能性があります。しかし、ヒトのタンパク質を標的とした医薬品が魚にも作用するのかどうか、作用するとしたらどれくらい効きやすいのかは不明でした。

本研究では、医薬品の生物種による感受性の違いを調べるため、メダカやアユを用いて、医薬品(本研究では抗うつ薬に注目)の主要な標的であるMATに対する包括的な分子・薬理学的特性評価を行いました。その結果、魚類のセロトニントランスポーター(SERT)はヒトのSERTよりも抗うつ薬に対して高い感受性を示すことが明らかとなり、魚類が環境医薬品に対して脆弱であることがわかりました。

本研究成果は、2026年8月24日に国際学術誌Environmental Science and Technology」にオンライン掲載されました。

研究の要旨とポイント

本研究の研究対象であるメダカ         

【用語】
*1 モノアミントランスポーター(MAT) : セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質を細胞内に再取り込みするタンパク質群。抗うつ薬などの主要な分子標的となる。

<詳しい研究内容について>
環境中に存在する抗うつ薬~ヒトと魚類に対する感受性の比較~

論文情報

雑誌名 : Environmental Science and Technology

論文タイトル : Characterization of fish serotonin, dopamine and norepinephrine transporters as a potential target for environmental pharmaceuticals

著者 : Kikuko Honda, Minguang Han, Fuyuka Mori, Ayaka Morinaga, Yuka Nishimura, Renji Kaneko, Kie Oizumi, Hana Kajiyama, Mariko O. Ihara, Han Zhang, Daisuke Kato, Kenji Toyota, Anke Lange, Charles R. Tyler, Taisen Iguchi, Yuji Mushirobira, Masaki Nagae, Kiyoshi Soyano, Masaru Ihara, Shinichi Miyagawa

DOI : 10.1021/acs.est.6c04982

【発表者】
宮川 信一 東京理科大学 先進工学部 生命システム工学科 教授 <責任著者> 
井原 賢 高知大学 農林海洋科学部 農林資源科学科 教授 <責任著者>