診療案内

  1. 上部消化管グループ
  2. 下部消化管グループ
  3. 肝胆膵グループ
  4. 乳腺内分泌グループ
  5. 小児外科グループ

上部消化管グループ

食道班

▶︎高知大学は食道癌の専門的知識を有する食道外科専門医食道癌内視鏡外科技術認定医が常勤する食道外科専門医認定施設です。最新のエビデンスに基づく診療を行っています。
低侵襲鏡視下手術
患者さんの負担軽減と早期回復を目的に、胸腔鏡(
左図
上図
)や腹腔鏡を用いた傷が小さく出血の少ない手術を行っています。
近赤外線光を用いた再建手術
特殊なカメラを用いて血流の可視化を行い(
左図
上図
)、合併症の少ない再建術式を行っています。
▶︎ロボット支援下胸腔鏡下食道切除術をはじめました。
2022年1月から手術支援ロボット ダヴィンチを用いたロボット支援下胸腔鏡下食道切除術をはじめました。プロクターとして岡山大学消化器外科の野間先生と田辺先生にお越しいただきました。
ロボット手術は通常の胸腔鏡手術と比べて、高精度三次元画像下に、手ブレがなく、多関節機能を用いて高精度な操作が行えます。

胃班

胃の病気と手術について
▶︎日本人の死因第1位は癌ですが、その中でも胃癌の占める割合は高いのが現状です。
▶︎正常な胃粘膜細胞の遺伝子が何らかの原因で傷つき、癌細胞へと変異したものが胃癌です。ヘリコバクターピロリ菌の感染がその発生に強く関係しています。粘膜、粘膜下層までの癌は早期癌といわれ、手術により高い治癒率が期待されますが、筋層・漿膜まで達する進行癌は手術、抗癌剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤などの薬物による治療が必要になってきます
蛍光クリップを用いたナビゲーション手術
  • リンパ節に転移している可能性が高くなると、外科手術治療を行い、胃周辺のリンパ節と併せて胃の3分の2あるいは全部を切除することが勧められます。早期癌に対しては胃の機能温存を考慮した手術や、腹腔鏡を用いた身体に侵襲の少ない手術を行っています。進行癌に対しては拡大手術により根治性を高めることもあります。さらに手術後の胃液、胃内容物の食道への逆流を防ぐような工夫も行うことで、手術後の生活の質向上に貢献しています。
  • KIT陽性胃間質性腫瘍に対しては内視鏡と腹腔鏡の合同手術により、より患者さんにかかる侵襲を低く抑えて的確に病変を取り除く方法や、ロボット支援手術にも積極的に取り組んでいます。
  • 腹腔鏡手術において病変部の正確な位置を認識することは重要で、新規のインドシアニングリーンクリップを用いて近赤外光により消化管内の情報を蛍光として可視化する最先端の光学医療診断技術も取り入れています(上図)。

下部消化管グループ

  • 下部消化管グループでは専属スタッフによる適切な治療を提供します。外科手術においては術後2週間以内の早期退院を目指し、手術困難例に対しても最新の薬物療法や放射線治療を組み合わせて完治の可能性を探っていきます。
  • 県内でもいち早く低侵襲・腹腔鏡下手術を導入し、現在では直腸/結腸癌に対する腹腔鏡下手術完遂率は約90%であり、全国平均の約60%と比較しても高いレベルを維持しています。
  • 最新のロボット手術「手術支援ロボット da VinciⓇ (ダビンチ) Xiシステム」を導入し、県内で唯一直腸癌に対しても手術を行なっております。
大腸癌について
  • 大腸は消化管の最後の部分で、水分の吸収や便の一時的な貯留(しかるべき時に便をする)などの役割を持っています。
  • 大腸癌は男女共に多くなってきている病気です。癌が大腸にできて増殖すると、出血したり、便が通らなくなるなどの症状が出てきます。また、リンパ節転移や肝臓・肺に転移することがあり、それらの臓器の働きを悪くするため、治療が必要です。
  • 癌の状態を把握するために、CT検査などを行い、根治切除が可能な場合には根治切除(手術によって直しきることを目指すこと)を行います。
  • 手術では、術後に排便習慣の変化(下痢や頻便)、神経に関連した排尿障害などが出てくることがありますので、術後は相談しながら薬剤の調整を行います。
  • 大腸癌の肝転移は、手術により根治することがあります。肝臓グループや他科と連携しながら診療をしています。

肝胆膵グループ

  • 肝胆膵グループは難治性癌の代表である、肝臓、胆道(胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌)、膵臓の癌治療を専門としています。そしてより安全な医療を提供するため専門スタッフチームによる医療を提供しています。
  • 肝切除術において切除範囲を明確にするため近赤外線カメラを用いたICG蛍光法による術中ナビゲーションを症例に応じて行っています。
  • 肝切除、膵切除では術後血糖管理が困難となることがあります。その際には当科で開発した人工膵臓を用いたより厳密で安全な血糖管理が可能である人工膵臓療法を行っております。
図. 肝後区域切除の肝細胞癌に対して後区域領域を可視化
図. 人工膵臓装置とその肝切除術血糖管理の一例
肝細胞癌について
  • 肝臓にできる癌は肝臓原発の原発性肝癌と他臓器からの転移性肝癌があります。原発性肝癌には肝細胞由来の肝細胞癌と、胆管上皮由来の胆管細胞癌がありますが、肝細胞癌が94%を占めており、一般的に肝癌といえば肝細胞癌を指します。
  • 治療は肝癌診療ガイドラインに準拠して肝切除、ラジオ波焼灼療法(RFA)などの局所療法、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、全身化学療法などから治療方針を選択します。
図. 腹腔鏡下肝外側区域切除の術中所見
図. 高分化型肝細胞癌の病理初見
  • 腫瘍が小さく、系統的肝切除が必要ないと判断された場合や、腫瘍が肝臓の左端にあり肝外側区域切除の適応となる場合は、腹腔鏡(補助)下肝切除を行うこともあります。
  • 外科治療の適応とならない方は肝臓内科、放射線科などと協力連携し、治療を行っていきます。

乳腺内分泌グループ

  • 乳腺センターとして乳癌を中心とした乳腺疾患の診断・手術・術前術後の薬物療法・進行・再発乳癌の治療など多角的な乳癌治療を行っています。
  • 乳癌治療の大半は外来で、手術は短期入院で行われるため、医療スタッフも外来から入院へ、入院から通院へと切れ目なく繋いでいく体制を整えています。
  • 遺伝性乳癌に対応するために臨床遺伝診療部の協力で遺伝性腫瘍外来を立ち上げ、臨床遺伝専門医と遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査を行っています。
乳がんについて
  • 一生のうちにおよそ11人に1人が乳がんにかかるとされていて、日本人の女性が最も罹りやすい癌です。
  • 特に40歳代から乳がんと診断される可能性が高くなるので、40歳を過ぎたら2年に1回の乳がん検診を受けることが推奨され、遺伝性乳がん家系の女性は40歳未満から検診を受けることが勧められます。
  • 一方で死亡数は第5位で、乳がんは早期に発見すれば比較的治りやすいがんと言えます。
  • 乳がんと診断されたら
    治療法を決めるために広がり診断(乳房の中のがんの範囲を評価し過不足なく乳腺を切除する)、予後因子・予測因子の診断(乳がんの性質を評価し治療方法を決める)を行います。
  • 治療は
    最良の効果を達成するために全身治療(化学療法・ホルモン療法・分子標的治療)と局所治療(手術・放射線療法)を組み合わせた初期治療を行います。
  • もしも再発したら
    手術部位以外への転移(遠隔転移)があるかを評価します。再発後の治療は全身治療が中心ですが症状コントロールのために局所治療(手術・放射線療法)を行うこともあります。
詳しくは「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」をご覧ください
ホームページでも公開されています
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2019/guidline/

小児外科グループ

  • 高知大学医学部付属病院小児外科は高知県の小児外科の中核となる病院で、小児外科診療だけでなく、将来高知県の小児外科医療を担っていく医学部生・研修医の教育も行っています。
  • 外来診療内容
    • 小児外科一般外来
    • 小児慢性便秘・失禁外来
      日本トイレ研究所・子どものための排便相談室協力病院
    • 胃瘻外来
    • 遠方の患児(者)様のために県東部と西部に小児外科外来を開設
      幡多けんみん病院、県立あき総合病院
  • 入院診療(手術)内容
    先天性消化管・呼吸器外科疾患、小児腫瘍、体表・腹壁疾患、肝胆膵疾患、小児救急・外傷、 重症心身障がい児への外科的サポート、鏡視下手術(漏斗胸、胃瘻造設、噴門形成術、肥厚性幽門狭窄症手術 急性虫垂炎、腸重積症、ヒルシュスプルング病、鎖肛、鼠径ヘルニア、停留精巣など)
腹腔鏡下小児鼠径ヘルニア修復術 (LPEC; Laparoscopic percutaneous extraperitoneal closure)
6歳男児、右鼠径ヘルニア腹腔鏡下写真。直径8mmの内鼠径輪開存(ヘルニア門)を認める。
非吸収糸(3-0タイクロン糸)でヘルニア門閉鎖後。
 1995年に徳島大学の嵩原先生により開発された小児鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術(LPEC)は、低侵襲だけでなく整容性、安全性の面から多くの施設で採用されています。
当科では2015年から標準術式として行うようになりました。
 手術は臍から3mmの内視鏡を腹腔内に挿入し鼠径部の穴(ヘルニア門)を確認します。術前に片側のヘルニアと診断された症例の約30%に反対側のヘルニア門が開存しており、その場合は両側の手術を行います(術前に家族の同意の元)。ヘルニア門直上の腹壁から糸を把持した特殊な針(LPEC針)を穿刺します。LPEC針の先端を腹腔鏡で確認しながらヘルニア門の周りに糸をかけて縛るとヘルニア門が閉鎖します。当科では糸を2重にすることで、ヘルニア門の閉鎖をより確実にしています。縛った糸は腹壁の皮膚の下の迷入しますので、体表から見えることはありません。
 手術は全身麻酔で行われ、手術時間は片側で平均20~30分(両側で30~40分)となります。入院期間は2泊3日で退院翌日から運動、入浴は可能となります。