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令和5年度「授業について考えるランチセミナー」<オンライン授業におけるアクティブラーニング実践>が開催されました

2023年6月1日

令和5年度「授業について考えるランチセミナー」<オンライン授業におけるアクティブラーニング実践>が開催されました。

授業について考えるランチセミナーは、テーマを変えて、毎月第2・第3木曜日に開催しています。

テーマの詳細やお申込みについては、FD・SDの取り組み | 高知大ポータル (kochi-u.ac.jp)の、「授業について考えるランチセミナー」ページをご覧ください。

-----開催報告-------

開催日時

第1回: 5月11日(木)12:05~12:50

第2回: 5月18日(木)12:05~12:50

 

参加者数

第1回: 5月11日(木) 46名

第2回: 5月18日(木)45名

 

コーディネーター・講師

コーディネーター、第1回、第2回講師: 塩川 奈々美(徳島大学高等教育研究センター)

 

◆内容

第1回: まず今月のテーマである「アクティブラーニング」について、文部科学省答申や徳島大学による定義が紹介され、アクティブラーニングの要点として学生の「能動的な学習を促す」「双方向的な教授・学修」であることが示された。加えて、態度や倫理観、コミュニケーション能力等といった一方向的な授業だけでは身につけにくい能力を育成する機会となりうることがアクティブラーニングの重要性として挙げられた。

また、コロナ禍のためオンライン授業が行われた昨年度までから、今年度は対面授業が中心に戻ったという状況を踏まえ、オンライン授業の中で培ったアクティブラーニングのノウハウを対面授業に活かしていくことで、学習活動をより充実させられる可能性があることが示された。
これらの現状を踏まえ、今回は同期型オンライン授業の環境においてアクティブラーニングを実施するためのTipsについて、講師から以下のような工夫が紹介された。

  • ZoomやTeamsのチャット機能を利用し、教員からの問いかけに対して学生に意見や感想をポストさせる
  • Zoomのスタンプ機能を用いて、教員からの質問や問いかけに対して、匿名での意思表示や質問への解答の機会を設ける
  • 拍手やレスポンス機能を使う機会を設けることで、学生と教員とのコミュニケーションを促進する
  • Zoomの投票機能、Google FormやMicrosoft Formsを用いてアンケートやクイズを作成し、学生の解答をリアルタイムで集計・共有する

また、オンラインでグループワークを行う際の工夫として、特に以下の点が挙げられた。

  • グループワークを行う際のルールを明確化し、ブレイクアウトルームに分かれた後のもたつきを防ぐ
  • Google Jamboard といったクラウド上で機能し、複数の人数で共同作業できるツールを用いてグループワークの作業を記録する

第2回: 最初に、前回(5月11日)の振り返りとともに、参加者アンケートの自由記述を踏まえ、アクティブラーニングによる教育効果の検証に関する論文の紹介がなされた。

続いて、オンデマンド型授業において双方向的な学習(=学生に能動的な学習を促す)を実施するための方法について、3つの工夫の紹介が行われた。

その第1が、manabaに代表されるLMSの活用である。LMSを用いることで、単に動画を見るだけでなく、授業コンテンツを蓄積することによる復習、学生への課題・小テストの提示、学生への連絡、あるいはコミュニケーションが可能となることが示された。

第2は、オンラインツールとの連携である。今回は動画視聴中に指示を出し、オンラインツールを用いる活動を促すことで能動的な学習を促進する工夫が紹介された。とくに今回紹介されたのが、オンラインホワイトボードツールのmiroである。また、ここでオンラインツールを使うことの利点として、他の学生の考えを見ながら作業を進められることが挙げられた。

第3は、オンラインでのオフィスアワーの実施である。オンデマンド型授業の短所であるコミュニケーションの不足を補完するために、様々なコミュニケーションツールを用いたオンラインでのオフィスアワーを活用することが提案された。コミュニケーションツールには、上述したmanabaといったLMSのほか、Zoom、Slack、Discordといったものが紹介された。

最後に講師から、オンライン授業でアクティブラーニングを実施する際の留意点として、以下の3点が提示された。

  • 教員対学生個人より、学生同士の対話を促すこと
  • 多様な意見を歓迎する雰囲気を作ること
  • コミュニケーションの窓口を設けること

 

◆成果と課題

参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回・第2回ともいずれの回答者からも肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においても回答者の大半から肯定的な回答が得られた。

 

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果

 

第1回(5月11日)

第2回(5月18日)

とても当てはまる

13(72%)

6(55%)

どちらかといえば当てはまる

5(28%)

5(45%)

どちらかといえば当てはまらない

0(0%)

0(0%)

まったく当てはまらない

0(0%)

0(0%)

合計

18(100%)

11(100%)

※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。

自由記述においては、第1回ではZoomの機能をはじめとしたツールの使い方を知ることができたといった回答のほか、アクティブラーニングによる実際の教育効果が知りたいといった質問もあった。これについては、上述の通り第2回の冒頭で講師からフィードバックが行われた。第2回では、ツールについて知ることができたという一方、ネット環境によるトラブルが心配といった声も寄せられた。また、本セミナーへの参加を通じて授業について考えている教員が自分以外にもいることが分かり励みになった、という感想もあり、本セミナーに教員同士をつなぐコミュニティとしての側面がある可能性も示唆された。

アクティブラーニングを含めた授業方法に関するテーマにおいては、授業が本格的に対面形式に戻ったこともあり、これからはオンライン授業で培われたノウハウをいかに対面授業とミックスさせていくかが課題となる。これに対しては、セミナーを担当する教員自身による開発も含め、最新の実践事例や情報、Tipsを積極的に収集していくことが求められる。

 

◆アンケート回答結果

第1回 (n=18)

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第2回 (n=11)

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■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)

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