大学院医科学専攻の岸上麗奈さんが、第67回日本生化学会中国四国支部例会において、優秀発表賞 (学生部門) を受賞しました
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大学院医科学専攻(イノベーションセンター・実験実習機器施設 分子生物学教室所属)の岸上 麗奈さんが、令和8年5月30日 (土) 〜 5月31日 (日) に開催された第67回日本生化学会中国四国支部例会において口頭発表を行い、優秀発表賞 (学生部門) を受賞しました。
Domain associated with zinc fingers (DZF) タンパク質は、ヒトでは6種類のみ確認されています。そのうち、二本鎖RNA結合モチーフを有し、全身性に発現が認められるタンパク質はNuclear Factor 90 (NF90)のみであり、Redundancyとして機能するタンパク質は確認されていません。NF90は周産期で発現が高く、NF90のノックアウト (KO) マウスは周産期致死となります。これまでの報告でNF90は細胞増殖促進能を有することが知られています。そのためNF90は周産期の細胞増殖に関与する「個体発生に必須のタンパク質」であると考えられています。一方で、成体期における上皮組織においてはNF90の発現は低く抑えられています。ところが乳がん、膀胱がん、上皮卵巣がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん等の上皮組織由来の「がん」においてNF90の発現上昇が認められます。加えて、卵巣がん、肺がん、肝細胞がん等の細胞株においてNF90は細胞増殖を促進することが見出されています。従って、成体期の上皮組織の「がん」化においてNF90の発現上昇が深く関わっていると考えられています。一方で、成体期の上皮組織におけるNF90の発現上昇の分子機序に関しては未解明の部分が多く残されています。
そこで岸上さんは、修士論文のテーマとして、坂本修士教授、樋口琢磨講師の下、成体期の上皮組織におけるNF90の発現上昇の分子機序の解明に取り組みました。具体的には以前に坂本教授、樋口講師が見出した肝細胞の「がん」部におけるNF90の発現増加に着目し、網羅的阻害剤スクリーニング法を用いてNF90の発現を低下させる阻害剤の探索とNF90の発現増加経路の同定を試みました。まず、ゲノム編集技術を用いて肝芽腫由来細胞株Hep3BのNF90遺伝子に生物発光タグ「HiBiT」を導入したHep3B NF90-HiBiT knock-in細胞株を樹立しました。その後、当該細胞株に阻害剤359種を添加し、NF90の発現を示す発光量及び細胞生存率を測定することでNF90の発現を変動させる阻害剤のスクリーニングを実施しました。その結果、NF90の発現を低下させる阻害剤として細胞増殖促進能を有するがん関連遺伝子「FGFR1」を標的とする阻害剤「PD173074」が見出されました。
今後は、肝細胞の細胞株を用いて「FGFR1」の過剰発現やノックダウンを行い、「FGFR1」がNF90遺伝子の発現促進に関与するかを検証することで、成体期の上皮組織における「がん」化の新たな分子機序の解明につながることが期待されます。
【発表詳細】
発表名: 網羅的スクリーニング法による肝細胞がんにおけるDomain associated with zinc fingers (DZF) タンパク質NF90の発現増加経路の探索
発表者: 岸上 麗奈1, 樋口 琢磨1, 森澤 啓子1, 坂本 修士1
(1: 高知大学 イノベーションセンター 実験実習機器施設 分子生物学教室)
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