地域協働学部では、地域が抱える課題を実際に体験し、その解決に向けて地域住民と協働しながら具体的な解決策を考え、
実践することを目的に、1年生から3年生まで、高知県内各地をフィールドとした600時間を超える実習科目が配置されています。
実習パートナーの皆さんからのメッセージ
集落活動センター チーム稲生(南国市)
会長 山﨑 昇さん
東西に長く田園風景が広がる当地域は、もともと稲作や石灰産業で発展してきたまち。近年、少子高齢化が進み、地域の文化や絆を残そうと集落活動センターの活動を開始する中で、地域協働学部の皆さんとの「協働」もスタートしました。
実習受け入れは今年で5年目。どの学年もそれぞれメンバーの個性や視点が異なり、地域で見つけてくる課題や解決に向けた取り組みも様々です。最初に受け入れた2期生は中谷地区で避難マップづくりなどの活動を、続く3期生は地域情報誌「いなぶっく」の発行や小久保地区で高齢者に向けたサロン活動を展開。現在、4期生が衣笠地区で石灰産業などまちの歴史写真館を作るプロジェクトを、さらに下の学年は地域を知り住民の思いを理解するフィールドワークをしながら、次の協働を創り出そうとがんばっています。彼らから刺激を受けて地域のあちこちでいい変化も生まれており、協働によるWin-Winを実感しています。
(※2020年度取材)
黒潮町佐賀北部活性化推進協議会
会長 大石 正幸さん
高知県西部に位置する佐賀北部は、昔から楮が特産で和紙作りが盛んな地域です。近年は柚子の栽培にも着手し、新たな集落再生の道を模索しています。一昨年からそこに地域協働学部の学生たちが入って来てくれるようになり、これまで大小さまざまな活動を一緒に行ってきました。彼らは月に数回、ここにやって来ます。授業だけでなく地域の行事などにも参加してくれるので、最近はすっかり地域にも溶け込んでくれています。そこが、実は大事な協働のスタートだと思っています。
学生たちが来て、何が変わったか。一番は、若い感性によって今まで気づかなかった地域の魅力を再発見できたことです。そして何より地域が元気になりました。逆に我々地域が学生に対して何ができるのか、正直まだ確信はないけれど、地域にはチャンスがあります。自分の気持ち次第で何でも挑戦できる、それが地域での学びではないかと感じています。
(※2019年度取材)
株式会社 高知犬 高知ファイティングドッグス球団
統括本部長 永井 理大さん
高知ファイティングドッグスは、四国アイランドリーグplusに所属する野球チームです。我々自身も地域密着・地域貢献を掲げて活動しており、地域協働学部の理念に共感して学生を受け入れ、ともに人材の育成に力を注いでいます。
学生たちは、ヒアリングやアンケートなど様々な手法を通じて、ホームタウンとの関係性や球場への集客といった課題を拾い上げ、その解決に向けた企画を提案してくれます。その中から、冬には小学校で選手と一緒に朝の挨拶運動を行ったり、夏の公式戦では観客と一体になってゲームを楽しむ仕掛けを企画したりと、協働してプロジェクトに取り組んできました。彼らには、こうした実践を通して経営、商品企画、販売、イベント、CSRといった多様な企業活動の側面を知り、自分たちの視野や仕事観を広げてほしいと思っています。そして、スポーツが持つ“地域を元気にする力”を、将来の進む先で活かしてほしいと願っています。
(※2020年度取材)
東豊永集落活動センター(大豊町)
センター長 氏原 学さん
私の住む大豊町怒田集落では、平成19年から大学と連携しつつ取り組みを続けてきました。次第に、高知大学の先生方や学生が来ることが日常化し、その活動や役割も明らかになってきました。一方、大学の地域への入り方は個々の教員の判断によっており、「高知大学の先生や学生はいつまで来てくれるろうか?」という不安も出てきていました。
そうした時期に設立された地域協働学部は、組織的に地域と連携し、教員や学生が地域に入り、地域の人と協働して地域の維持・発展を取組むことを目的としていました。私達の地域は、この学部を通じて高知大学との連携をさらに深めることができ、かつ、持続性のある連携が担保されると歓迎しました。
これまでの歩みは、まさに学部も地域も試行錯誤で手探り状態であったような気がします。それはこれからも続くと思われますが、過疎・高齢化が進む私達の地域とって地域協働学部に寄せる期待は変わりません。
朝早くから1時間余りバスに揺られて学生たちが怒田に降り立った時、「ときめき」や「感動」はあるだろうか? 彼らが背負ったバッグには「幸せ」が詰まっているだろうか? 私達は、あなた達が地域に夢や希望を与えてくれると信じています。そして、それは私達の「幸せ」につながっているのです。