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過去の意味を考える(黒潮町佐賀北部実習班:「記憶の記録と継承」企画)

 7月12日、室戸市を訪れ、高知県無線局の方やビキニ事件を知る元船員さんのご遺族にお話を伺いました。
 漁船の安全な航行・操業を支えてきた重要な技術の一つに、漁業無線があります。気象や海象情報はもちろん、所属船の動静把握や事故の未然防止に繋がる情報発信と注意喚起、魚価や漁況の周知や海難事故救助や捜索通信等を、日常的な業務として担っているそう。近年は携帯電話の普及に伴い、無線に代用するケースも増えているようですが、東日本大震災の際に他の通信手段がダウンする中で漁業無線局は最後まで機能し、その重要性は再認識されてもいます。
 無線局の通常の仕事はどのようなものか、現場を見学させていただきながら、どこからのどのような情報をどのようにして所属船に送っているのか、解説していただきました。資格を持っていてもすぐ仕事ができる類のものではなく、1人前に仕事をするにはやはり1年ほどはかかる、とのことでした。モールス信号が画面で文字になっていく様を初めて目の当たりにして、見学者一同感動していました。働く方は事務の方を含めて8名。24時間365日安全な操業のために少数精鋭で臨んでおられることを知りました。
 情報から一切絶たれる、という状況は今日ではなかなか想像が付きませんが、ひとたびそうした状況に陥った際に困ることは、想像に難くありません。通信技術が現在ほど発達していなかった時代であるほど、無線局がどれほどの役割を果たしていたのか、思いを馳せずにいられませんでした。
 お昼を食べてから後、室戸岬の良栄丸に乗っていた方のご遺族にお話を伺いにご自宅を尋ねました。当時の写真を見せてくださり、室戸の町の変化や操業中のご家族の過ごし方といった漁師町の日常のお話と同時に、船員だったお父様は盲腸の手術を3回以上して胃潰瘍・胃がんを経験したといった健康状態に関わるお話も、お聞かせ下さいました。お話を伺いにお邪魔したにもかかわらず「ご苦労さまです」と労いのお言葉をかけていただくことにもなりました。
 その後、むろと廃校水族館に向かいました。室戸には何度もお邪魔していながら、廃校水族館にお邪魔するのは初めてのこと。小学校に在る道具を活用しながら海洋生物が泳ぐ姿を目の当たりにしました。漁業の町で過疎と向き合う地域社会が、かつての学校を“海を生業とする町の社会教育施設”として活用している様子に、感銘を受けました。
 室戸という地域社会の現在に、歴史的な出来事の記憶そのものを伝えたり教訓をどう引き出したり学んだりできるのか。誰と共にできるのだろうか。今後の地域社会のあり方にどんな光や道筋を示唆してくれるのだろうか。9月の意見交流会に向けた相談をしながら視察やインタビューを重ねた実習でもあったがゆえなのか、今の室戸から過去にあったことの意味をいつも以上に考える1日となりました。


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