地域協働を組織する力を育てます。

学部からのお知らせ詳細学部からのお知らせ詳細

吉良川・室津・椎名を巡り、漁村の今を記録(室戸を主とした漁村実習班)

  5月13日、季節外れの猛暑日、「室戸を主とした漁村」実習班2年生は室戸市吉良川地区、室津地区、椎名地区に赴きました。7月頃に開催予定の写真展企画に用いる比較用の写真撮影と、室戸を知るための町歩きが今回の主な目的です。

■吉良川:伝統と工夫のまちなみを歩く

 まず、吉良川のまちなみを散策しました。入り口付近には商業施設や民家が多く、奥へ進むにつれて農家が増える印象を受けました。散策中、お遍路で訪れている外国人の方々の姿も見かけました。日本のみならず世界でも人気の場所であると感じました。この地域は「重要伝統的建造物群保存地区」に認定されており、土佐備長炭の繁栄とともに、江戸時代からさまざまな暮らしの工夫が施されてきました。

 たとえば、吉良川の民家の壁面には「水切り瓦」と呼ばれる小さな庇のような瓦が取り付けられています。台風の多い室戸市では、雨水が壁面を伝って流れ落ちるのを防ぎ、直接地面へ流すための工夫がなされています。また、石積みの塀「いしぐろ」は家ごとに異なる積み方がされており、それぞれ独特の美しい景観を生み出していました。こうした昔の人々の知恵や工夫が、現代の生活にも息づいていることに感銘を受けました。

 吉良川のまちなみ館では、実際に土佐備長炭に触れることができました。手に取ると非常に硬く、備長炭同士を叩くと、まるでガラスを弾いたような澄んだ高音が響き渡りました。見るだけではなく触れることで、その特徴をより鮮明に感じられました。

 その後、御田八幡宮を訪れました。神社の奥には険しい山道が続いており、急な坂道を登っていきました。頂上に着くと、登る前の雰囲気とは一変し、静寂の中に心地よい涼風が吹き抜け、穏やかな空気に包まれました。

 御田八幡宮は、鎌倉幕府を開いた源頼朝によって創建されたと伝えられており、国指定の重要無形民俗文化財にも認定されています。自分が知らない場所にも、歴史上の偉人が関わっていることを知り、より一層興味が湧きました。

■ 室津:港とともに歩んできた町の記憶

 室戸市役所前でこれまでの室戸実習でもお世話になってきた濱田郁夫さんと合流し、室津港周辺を案内していただきました。道中、道の駅等でもよく目にする山本かまぼこ店に立ち寄り、できたての玉子入りだんごをいただきました。

 濱田さんが創業した年を尋ねてくださり、なんと1938年から続く歴史あるお店であることがわかりました。

 このように長く続いているお店がある一方で、空き家となってしまっている店舗も見られました。地域の賑わいの一端を担っていた場所が今では静まり返っている様子を目にし、地域の変化と寂しさを感じました。その後に訪れた室津港には、大小さまざまな船が並んでおり、サンゴ漁用の舟からクルーズ船のようなものまで、多種多様な船を見ることができました。以前学内実習で室戸での漁業の様子をまとめた映像を見た際、気になっていた船の型番や船を係留しておくための「船止め」についても実際の船を見て確認することができました。

 さらに、室津港周辺にお住いの方々からも直接お話を聞くことができ、漁業が盛んであった当時の様子やその暮らしぶりについても知ることができました。

 その中でも特に印象に残っているのが、「室津港周辺も港に訪れる人々をターゲットとしたお店でにぎわっていた」という話です。室戸に対し「漁業の町」をしての印象が強く、一次産業としての側面のみに着目していましたが、港周辺の商業の賑わいにも関係していたということに気づき、当時の室戸における漁業の社会的な役割の大きさを実感しました。

 このように実際に現地を訪れることでしか得られない気づきや学びが多くあり、非常に貴重な時間を過ごすことができました。

■ 室津:港とともに歩んできた町の記憶

 続いて、集落活動センター「たのしいな」を訪れて、近年の神祭の状況などを伺いました。地域を挙げての行事を運営することの大変さを垣間見ました。

 次に、椎名漁港を訪れました。漁港では水揚げの様子を見学させていただき、椎名大敷組合の橋本さんともお話することができました。現場では、獲れたソウダガツオがレーンに乗って運ばれており、目視で選別作業が行われていました。橋本さんによると、その日の漁獲量は少ない方だったそうです。しかし、それでもたくさんの魚が選別されていて、大漁の時はどうなるのだろうと興味が湧いてきます。

 最後に、写真展で展示する写真を撮影しました。

 椎名地区にある厳島神社では、境内にある巨大な岩に圧倒されました。荘厳な雰囲気をまとった神社で、清掃も行き届いており、地域の方に大切にされていることがわかります。

 また、撮影地の同定のために、椎名の中吉石油店の方からお話を伺うことができました。そのお話では、昔は田んぼだった場所を教えていただいたり、過去にあった災害についても教えていただいたりしました。往時の室戸の景色を想像しながら見る現代の街並みは感慨深いものでした。

 今回の実習では、室戸の町並みや人々の暮らしにふれる中で、その背景にある歴史や文化についても、地域の方々のお話を通じて知ることができました。案内してくださった濱田さんをはじめ、丁寧にお話を聞かせてくださった地域の皆様に、深く御礼申し上げます。

 


お気軽にご請求ください。入試情報・資料請求

お問い合せはお電話で。電話番号088-888-8042

パンフレットダウンロード

地域協働教育推進会議

教授会及び学部運営会

地域協働学部・地域協働学専攻の就職先

同窓会のご案内