高知大学農林海洋科学部・大学院総合人間自然科学研究科農林海洋科学専攻

学び360度! 先輩たちの声
大学での学び方や先生との関係、農学生生活、サークルなどなど……。
高校とは違う大学でのリアルな生活を先輩たちに聞いてみました。

特集記事−Feature article

デジタル化が拓く新時代の農学研究 ー「変革の担い手」となるZ世代の活躍

グリーンサイエンスの力で人にも環境にも優しい化学合成を

昌本 麗

修士1年(2022年度)
金野研究室所属

コツコツ努力してきた研究成果が国際会議で評価された!

私は、化学の力を使って社会貢献ができる医薬品関連の研究がしたいと思い、高知大学農林海洋科学部に入学しました。大学4年生の頃から、金野先生のご指導のもと、環境に配慮した原料や方法を用いた,新しい“環状スルフィド”の合成法開発について研究を行っています。 環状スルフィドは医薬品の原料の一つであり、この分野を研究・開発することで将来の医薬品開発に貢献できると考えています。
元々この研究は、金野研究室が取り組んできたグリーンサイエンスの一環で、私は先輩からその一部を引き継ぎ、これまでコツコツと研究を行ってきました。

実験中、「反応が進まない」、「生成物がうまく抽出できない」など、想定外のことが起こることも度々あり、その都度、金野先生に助言をいただきながら進めてきました。ときには、どれだけ丁寧に実験の準備をしても反応自体が起きないこともあり、ゴールがどこにあるかわからない苦しい作業を続けてきた時期もあります。
ですが、2022年7月、第25回IUPAC物理有機化学国際会議(ICPOC-25)にて、Poster Prize(学生ポスター賞)をいただくことができました!
この会議は、物理有機化学分野研究に携わる研究者の情報交換や化学の発展に向けて議論を行う場として、これまで世界各国で開催されてきていて、今年度は40年ぶりに日本で開催されました。
私が頂いたのは、研究成果をまとめたポスターセッションを審査する賞で、参加者上位10名に与えられるものです。今年度の参加者は95名でしたが、その中からの受賞となり、何度も何度も実験を重ねてたどり着いた結果が評価されることになりました。一気に苦労が報われた気がします!
院生生活、残りあと1年。しっかり頑張って成果を出したいです。

単離されフラスコに集められた化合物たち

 

スーパーコンピュータによる分子反応シミュレーション。目には見えないミクロの世界を解明する

 

ICPOC-25の様子。新型コロナ感染拡大の影響を受けて2020年から延期され、2022年にようやく広島で開催された

院生は、学部生を導く身近な存在。時には逆に導かれることも?!

現在、金野研究室の修士は私一人で、学部生に教える立場ですが、彼らがとても素直に楽しんで研究をしてくれるのがうれしいです。 私はあまり遊びに行ったり飲みに行ったりしないタイプですが、彼らが連れ出してくれるので、お互いに学びも楽しみも共有できています。
彼らは全員大学院に進学する予定なので,来年は同じ大学院生としてお互いに協力し合いながら一緒に頑張っていきたいです。

研究室にて金野先生を囲んで。研究室の皆と日々切磋琢磨し、共に研究に挑んでいます