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主要研究設備
■古地磁気・岩石磁気実験室
海洋コアを構成する岩石・堆積物には、多くの場合、磁性鉱物が含まれています。地球には固有の磁場が存在するため、これらの岩石・堆積物はその形成時に地球磁場の方向・強さに応じて残留磁化を獲得し、この磁化はそのまま"化石"となり保存されます。この実験室には、このような"磁石の化石"のさまざまな情報・性質を解読するための測定機器が設置されています。実験室は「弱磁場ゾーン」と「強磁場ゾーン」に分かれています。

弱磁場ゾーン(磁気シールド室)には、地質試料の残留磁化を測定するため、超伝導磁力計(SQUID)、スピナー磁力計、熱消磁装置、交流消磁装置、磁化率異方性測定装置(Kappa Bridge)などが設置されています。残留磁化は非常に微弱なため、測定には磁気的にクリーンな環境が必要になります。このゾーンはパーマロイという特殊な金属で周囲が囲まれた構造になっており、内部の磁場は外部の約1/500程度にまで弱められています。この磁気シールド室の大きさは世界最大級です。

強磁場ゾーンには、地質試料に含まれる磁性鉱物の各種磁気特性を測定するため、磁気特性測定システム(MPMS)、磁気天秤、振動試料磁力計(VSM)などが設置されています。測定には最大で地球磁場の数万倍もの強磁場を利用するため、この磁場の干渉を防止する目的で、磁気シールド室とは独立した区画となっています。

[超伝導磁力計]
液体ヘリウムに浸ったSQUID (Superconducting Quantum Interface Device)と呼ばれる超伝導素子をもつ超伝導磁力計は、わずかな磁気変化に対して敏感で、磁化強度が弱い試料の測定に適しています。特に遠洋で堆積した泥質堆積物や泥岩は磁化強度が低いため、泥岩試料の古地磁気測定に超伝導磁力計を用いることも多くあります。試料の残留磁化測定や交流消磁・人工磁化着磁を全自動で行うことが可能で、柱状試料 (U-channel)の連続測定も行うことができます。

[スピナー磁力計]
試料を一定速度で回転させ、試料の周りを取り巻くコイルの電流値変化から磁化ベクトルを測定する磁力計で、かなり強い磁化を持つ火山岩や変成岩などの測定を短時間で行うことが可能です。また、装置の様々な工夫により、堆積岩など比較的弱い磁化を持つ岩石の測定も可能になってきています。

[磁気特性測定システム]
超伝導磁石および気化した液体ヘリウムを用いて磁場・温度を制御し、低温域(6-300K)における試料の磁気特性を SQUID によって測定する装置です。地質試料に含まれる主要な磁性鉱物としてマグネタイトがありますが、約110Kにおいて特有の磁気相転移を示すため、その検出などに使用されることがあります。

       

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