高知大学農林海洋科学部・大学院総合人間自然科学研究科農林海洋科学専攻

大学院について
物部キャンパスには農林海洋科学専攻(修士課程)と黒潮圏総合科学専攻(博士課程)の2専攻が
置かれていますが、こちらでは農林海洋科学専攻をご紹介します。

総合人間自然科学研究科 農林海洋科学専攻

農林資源環境科学
コース

Agricultuer,Forestry,Bioresouce and
Environmentaly Course

農林資源環境科学コースは、暖地農学、森林科学、自然環境学、生産環境管理学の4つの学問領域で構成されており、農林資源の安定的確保、開発・獲得、高度有効利用、生産環境管理、自然環境の保全・修復などのテーマに取りんでいます。

本コースでは、各専門領域の高度な知識・技術を基盤としながら、海洋環境・資源に関する知見の応用による課題解決や、AI・IoTなどデータサイエンスを組み入れたスマート農業など新たな挑戦を通じて、次世代に貢献できる人材の育成を目指します。
研究領域紹介
暖地農学領域

農作物や家畜の生産技術、遺伝的改良、IT技術導入など、最先端の実践的研究で、東南アジアの農業をリードします。

Keyword

食用作物、野菜、果樹、花卉、施設園芸、省エネルギー、高品質化、土佐あかうし、農業政策、国際農業支援

研究室名

花卉園芸学/作物学/蔬菜園芸学/農山村資源利用学/動物生産学/施設生産システム学/果樹園芸学/農業経営学/蔬菜園芸学

自然環境学領域

化学や生物学、環境学などを駆使して、産業と自然の持続可能な関係に資する新たな知見や技術を追求します。

Keyword

昆虫、天敵、ハダニ、フェロモン、有機化学、天然物化学、進化生態学、気象、地球温暖化、地域水文、GPS、GIS

研究室名

行動生態学/生物多様性管理学/生態生化学/農業気象学/植物資源機能科学

森林科学領域

木材資源は可能性に満ちた生分解材料であり、森林は地球環境の基盤です。その未来を科学の視点で探ります。

Keyword

紙パルプ、機能紙、熱帯雨林、林冠生物学、生物間相互作用、林業用架線、森林バイオマス、伐採、山村振興

研究室名

森林資源材料学/樹木生理生態学/林業工学/森林経理学/森林経営学

生産環境管理学領域

農業施設や水利施設など農業インフラの整備・管理について、農学と工学の融合による最新技術を創出します。

Keyword

製造プロセス、水環境、水処理、廃棄物、農業土木、生態系配慮型工法、コンクリート、リモートセンシング

研究室名

食料生産プロセス学/流域水工学/地理情報科学/施設工学/土地保全学/水資源工学/水環境工学

コースの魅力
情報工学時代の施設園芸(IoP=Internet of Plants)
コンピューターとネットワークが急激な進化をみせる今日、これまで不確実性が強いとされてきた生命現象や社会現象についても、膨大なデータの集積・解析によって、現在起こっていることを正確に把握し、未来に起こるであろうことを高い精度で予測することが可能になってきました。農業分野にもそのトレントが今まさに押し寄せてきています。現在、高知県、県内大学および企業の協働のもと、IoP次世代施設園芸プロジェクトが進行中で、高知県に特徴的な施設園芸生産の場で、植物の生育の正確な把握に基づく環境制御と生産の最適化や、生産・流通状況に即応した高度なマーケティング実現などによって地域産業振興に資すること目指しています。
アフリカ天水稲作地域における陸稲の根系発達と生産性の向上
アフリカのイネ収量は、天水条件下ではわずか1-2 t/haに過ぎません(対比して灌漑水稲栽培では3-5 t/haです)。米生産が低収である原因は、水不足によるところが大きく、近年は異常気象により雨季の開始時期が不安定化する傾向があります。水利用効率の向上には、土壌の深い層からの水吸収を促す「深根性」を陸稲に付与することが重要であり、深根性を誘導する栽培技術の開発をおこなっています。本関連研究プロジェクトを遂行するために、アフリカに大学院生を青年海外協力隊員として派遣し、研究協力・技術協力をおこなっています。これまでにベナン共和国、カメルーン共和国などに短期・長期派遣し、修士論文の作成につなげています。
自然からの贈り物:天然農薬
自然界の植物や動物を調べると色々な不思議が見えてきます。例えば、植物は他の植物との生存競争を勝ち抜くためにアレロパシー現象を利用しています。アレチハナガサは生長の遅い雑草ですが、実は根から特殊な化学物質を分泌することで競争植物を抑制してニッチの占有を目指しています。この特殊な化学物質が自然界では容易に分解され環境負荷の少ないバーバスコサイドと呼ばれるフェノール物質であることを解明することに成功しました。これを農業に利用すれば、天然由来の次世代型の雑草抑制剤(農薬:除草剤)が開発できます。
未来の紙の開発
木材資源から製造される紙は、石油由来のプラスチック材料に替わる生分解性材料として、注目されています。しかしながら、紙はプラスチックと比較して、水に対する耐性が低いことが課題となっています。そこで、イオン液体を活用して、紙に耐水性を付与する研究を進めています。イオン液体で数十秒間処理することにより、水への耐水性が格段に向上することを明らかにしました。さらに、イオン液体処理で比表面積が向上させることに成功し、撥水性処理を効率的に行うことが可能になりました。イオン液体処理は、海中分解性に関与するセルロースの結晶化度をコントロールすることが可能であり、海中分解性材料への展開が期待されます。
農業水利施設の管理・保全と長寿命化
農業に必要な水は、農業水利施設によって一枚一枚の田や畑に配送されます。元来、水資源が豊かなようでいて、実際に利用可能な量が少ない島国日本では、水利用の高度化のため、精緻な配水システムが構築されてきました。しかし、施設そのものの老朽化、農業形態の変化、気候の極端化等に伴い、これまでの安定した水供給が今後も保証されるとは言えない状態になりつつあります。現在、農業県である高知県をフィールドとし、ダムやため池といった貯水施設、堰や水路といった通水施設に対して、将来に亘る水資源確保のための長寿命化技術の体系化への貢献、民間企業との協働による詳細な性能評価技術、経済的な補修技術の開発研究を進めています。
修士論文タイトル
暖地農学領域

中小規模園芸施設における生産性向上手法に関する研究/環境制御施設で栽培したウンシュウミカンの結実および果実成長に関する研究/ユズの隔年結果を是正するための肥培管理に関する研究/常温保存したウシ凍結乾燥体細胞を用いた核移植に関する研究/地域資源の給与が褐毛和種高知系に与える影響

自然環境学領域

高知県における竹筒トラップを用いた管住性ハチ相の解明

森林科学領域

架線系システムの間伐作業による損傷の発生状況及び経年経過/暖温帯上部における針葉樹の更新状況や生育環境特性の解明/東南アジア熱帯2次林の植生回復可能性に関する定量評価研究

生産環境管理学

下水汚泥処理工程における亜酸化窒素排出メカニズムの検討/正浸透法を核とした創エネルギー型下水処理システムの実現性評価/低温履歴を受けた無機系補修材料の強度発現特性に関する基礎的研究