薬務室

1.薬務室の主な業務

(1) 薬事委員会事務局としての関与
(2) 後発医薬品選定委員会の事務局としての関与
(3) 医薬品の保管管理
(4) 医薬品の管理に伴う帳票類(出納簿等)の管理
(5) 病院の薬事に関する業務および薬剤部業務の庶務
(6) 医薬品の需要計画および調整
(7) 物品および機器等の購入計画、保管
(8) 薬務に関する調査、統計および報告
(9) 災害用医薬品の管理
(10)研修生および実習生の指導

2.業務内容

(1)薬事委員会事務局としての関与

当院では、各診療科科長、総合診療部部長、中央検査部部長、薬剤部長、副薬剤部長、業務部長等から構成される薬事委員会を年4回開催しています。

薬事委員会では、採用医薬品数として1,600品目を目標とし、医薬品の採用や削除について厳密な審査を行なっています。しかしながら、配合剤(ARB+Ca拮抗剤等)、オーファンドラッグや特殊な適応を有する薬剤の発売ならびに「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」等の医療制度の改正等が行なわれており、採用品目数の増加が避けられない状況にあります。これらの状況の中、委員会では、可能な限り患者さんおよび診療科の立場に立って有用な薬剤が供給できる体制を整える努力を行なっています。その一つの試みとして使用量が限られた薬剤に関しては、診療科を限定して使用できる“診療科限定薬剤”という枠組みを設定し、運用を行なっています。診療科限定薬剤の設定により正式採用枠に余裕が生まれ、他の必要な薬剤が採用しやすくなったと委員の間でも好評です。

委員会では、採用に関しては、各委員から提出された新規採用申請を点数化し、点数の高い薬剤から審議を行ない、薬剤の削除や整理に関しては各委員に対して行なった削除アンケートを基に審議を行なうとの取り決めで運用しています。薬品情報室は薬事委員会の事務局として、中立的・公平的な立場でそれらの資料の作成・提供を行っています。また、医療経済学的、薬剤学的な情報を提供することで、有用な薬剤の採用に寄与しています。

(2)後発医薬品選定委員会の事務局としての関与

後発医薬品の普及は、患者負担の軽減、医療保険財政の改善に資するものと考えられていますが、欧米諸国と比較して普及が進んでいないことより、近年、国が後発医薬品の採用を強く押し進めているところです。

当院でも後発医薬品の採用を推進するため、後発医薬品選定委員会を組織し、後発医薬品の採用および取り扱いに関する審議を行なっています。

後発医薬品選定委員会では、採用等の審議が円滑に進むよう、後発医薬品選定基準を定めています。その基準の中で、審議対象は、医療経済学的に経済効果の高い先発医薬品とされ、変更する後発医薬品は先発医薬品と効能効果、成分・含量を同一であることが唱われています。さらに、後発医薬品の評価は企業評価と品目評価からなされ、企業および品目に対して、それぞれ評価項目を定め、その評価を点数化することによって評価点数の高い薬剤を選定するよう基準が定められています。

後発医薬品選定委員は、薬事委員会で承認された約10名の診療科科長等で構成されています。薬品情報室はその事務局として資料の作成・提供を行っています。後発医薬品は先発医薬品と同等性を有するとされながら、後発医薬品に不信感を抱く医療従事者も多く、薬剤の同等性や製剤学的な特徴等の客観的なデータを提示し、当院での後発医薬品の推進に寄与しています。

(3)医薬品の保管管理

当院では、昭和56年10月開院時より、病院業務の効率化を図る目的で、総合医療情報システムIMIS−Kochiが稼動しています。

薬務室ではそのサブシステムとして「医薬品在庫管理システム」が稼動しています。

「医薬品在庫管理システム」は、医薬品の発注から病棟・外来への供給までを包括したシステムであり、医薬品在庫管理業務の効率化と精度の向上に大きく寄与しています。医薬品の発注は、原則として週1回の定期発注とし、発注数量は、最新の出庫データをもとに現在庫量と照合して「薬品受発注システム(薬剤部開発)」が自動的に算出しています。発注データは、各契約卸業者別に自動的に分類された後、VAN回線を介して各卸業者に送信されます。また、各卸業者からは、納品データ以外に有効期限、ロット番号等の病院内管理に必要なデータが送信されてきます。医薬品倉庫から医薬品を出庫する場合は、医薬品の包装に記載されたバーコードをバーコードリーダーにて読み取り、出庫データを作成しています。以上の発注・納品・出庫データはいずれもホストコンピュータに送信され、医薬品管理データとして利用されるとともに、薬品出納簿等の帳票類の出力に利用しています。

(4)災害医薬品の管理

当院は高知県の災害拠点病院としての役割も担っており、薬剤部では、災害用医薬品の備蓄・管理を行っています。大規模災害時の薬剤確保など災害対応も薬剤師の重要な職務です。DMAT(災害派遣医療チーム Disaster Medical Asistance Team)隊員に薬剤師が1名参加しています。


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