薬品情報室

1.薬品情報室の主な業務

(1) 医薬品安全性情報等管理体制の充実
(2) 薬薬剤に関連した各種マスタのメンテナンス
(3) 医療従事者及び患者等からの医薬品に関する質疑応答
(4) 病棟薬剤業務に関する支援
(5) 薬剤部職員の教育


2.業務内容

1)医薬品安全性情報等管理体制の充実
平成24年度4月に診療報酬が改正され、薬剤師には病棟薬剤業務等の実施による他職種の業務軽減及び薬物治療における薬剤師の積極的な参加や医療安全への寄与が求められています。そのため、薬品情報室では現在、各医療スタッフへの情報提供及び病棟担当薬剤師の病棟業務支援を様々な方面から行っています。
また、従来からの医薬品安全性情報等の管理体制の充実へ寄与するために、引き続き医薬品の使用状況、医薬品に係わる副作用・ヒヤリハット情報、さらには、公的機関や製薬メーカー等からの各種医薬品情報の積極的な収集に努めています。
入手した情報に関しては、その情報の種類に応じて重要度を定め、その重要度に応じた医療従事者への速やかな情報提供を行なっています。情報は、その対応までの時間から“速やかに”、“3ヶ月毎に”、“その都度判断”の3群に分類し、書面での通知や病院内掲示板への掲示、さらには特定医師および診療科へのメール発信等の手段で、情報の周知徹底に心がけています。


表1.情報の種類別にみた重要度
区分 情報の種類 重要度 備考
公的機関
からの情報
医薬品・医療器具等安全性情報 ★★★ 情報内容による
厚生労働省からの通達等の情報 ★★(★★★) 情報内容による
県薬務課からの通達等の情報 ★★(★★★) 情報内容による
病院薬剤師会からの情報 ★★  
その他、関係団体からの情報 ★★  

医薬品製造
販売業者

卸売販売業者
からの情報

緊急安全性情報 ★★★★★  





警告に関する情報 ★★★(★)  
禁忌に関する情報 ★★★  
効能効果に関する情報 ★★★  
用法用量に関する情報 ★★★ 情報内容による
上記以外の使用上の注意に関する情報 ★(★★) 情報内容による
添付文書におけるその他の項目の情報 情報内容による
薬剤の適正使用に関する情報 ★(★★★★) 情報内容による
薬剤の再評価結果 ★(★★) 情報内容による
販売名変更等のお知らせ  
販売・製造中止のお知らせ  
自主回収のお知らせ ★(★★★★) 情報内容による
その他、製品の品質に関する情報  
学術誌、医療機関外の医療従事者等外部からの情報 (★★★★★) 情報内容による
その他 (★★★★★) 情報内容による


表2.重要度に応じた情報提供の基本的な対応方法
重要度 対応までの時間  対応
★★★★★ 速やかに

書面での通知、
グループウエアのフォーラムへの掲示、
診療科教室(情報によっては特定の医師)宛のメール、
IMIS掲示板への掲示

★★★★ 速やかに

グループウエアのフォーラムへの掲示、
診療科教室(情報によっては特定の医師)宛のメール、
IMIS掲示板への掲示

★★★ 3ヶ月毎 DIニュースへの掲載
IMIS掲示板への掲示
★★ その都度判断 その都度、判断
その都度判断 その都度、判断

薬品情報室からの能動的な情報提供としては、添付文書の改訂情報、採用薬剤のトピックス、医薬品適正使用等に関する記事を掲載したDIニュースを年4回発行しており、さらに、添付文書が頻繁に改訂される状況を考慮し、パソコン上で最新の添付文書情報が参照できる院内医薬品情報提供システムにより医薬品情報の提供を行なっています。

また、薬品情報室で管理している医薬品情報等の一覧を部門ライブラリーに掲示し、他の医療従事者が容易に入手できる体制も整えています。


2)薬剤に関連した各種マスタのメンテナンス
本院は、開院時より総合医療情報システムが稼動しており、その稼働には医薬品に関連した様々なマスタが存在しています。薬品情報室では、処方マスタ、注射マスタ、相互作用マスタ、セットマスタ、レジメンマスタ、お薬情報マスタ、医薬品情報マスタ等の各種マスタを一元的に管理しています。

一元的なマスタ管理を通して、投与量、投与日数、用法、注射手技、さらには、近年膨大化する薬剤の併用禁忌情報をシステム上に反映させることで医師の処方支援を行なっています。

しかしながら、誤った情報の入力は、不特定多数に影響を及ぼす医療事故につながる危険性があるため、入力には、薬品情報室担当者が2重、3重にもチェックを行ない、間違った入力等が絶対に起こらない体制を整えています。


3)医療従事者及び患者等からの医薬品に関する質疑応答
医師、看護師等の医療従事者だけでなく、患者さんからの医薬品に関する質疑に対して、薬品情報室が窓口となって対応を行なっています。現在、月50件程の質疑に対応しており、用法用量、注射薬の配合変化、副作用等に関する質疑が多く寄せられています。質疑応答の内容は各病棟担当薬剤師にフィードバックすることで病棟業務を円滑化に行えるように支援しています。。


4)病棟薬剤業務に関する支援
薬品情報室では、病棟薬剤業務を推進するため、病棟薬剤業務室と連携し、定期的に病棟担当薬剤師のミーティングに参加し、病棟での問題点や相談事項等の情報を共有するとともに、病棟担当薬剤師が、病棟薬剤業務を行なう上で必要な情報の提供を行なっています。また、緊急安全性情報、安全性速報、適正使用情報等の薬物治療に関する重大な情報を病棟担当薬剤師から医師・看護師等へ速やかに情報伝達・周知できるように、関連薬剤の使用状況・使用医師・使用患者等の把握および情報提供に関するサポートを行っています。


5)薬剤部職員の教育
薬剤師の職能には「医薬品に関する深い知識が必須であり、知識は日頃の積み重ねが重要である」との薬剤部長の方針で、薬剤部職員は、高いモチベーションを持って医薬品情報の収集に努めています。
薬品情報室では、その支援として定期的に勉強会を行なっています。勉強会は2部構成からなっており、1部が製薬メーカーによる製品や病態の説明、2部が部員中心の勉強会となっています。部員中心の勉強会では、日頃勉強した内容の発表、チーム医療で活躍する部員からのチーム医療に関する報告、他職種からの情報提供等、多彩な内容を取り入れ、職員の知識レベルの向上に努めています。

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