本文へスキップ

Kochi Medical School Hospital Clinical Radiology Department

高知大学医学部附属病院(代表)088-866-5811

〒783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮185-1

核医学検査Nuclear Medicine

核医学検査とは?

核医学検査は、ガンマ線という放射線を放出する放射性医薬品を静脈から注射し、体内に取り込まれた薬から放出されるガンマ線をカメラで検出する検査です。放射性医薬品とは、ラジオアイソトープ(RI:放射性同位元素)を使用した医薬品のことですが、体内への取り込み方は注射の他にも、呼吸により吸入するものや、カプセルを飲むものなどがあります。CTやMRIが臓器の形態画像であるのに対し、核医学検査では血流や代謝などの機能情報を画像として反映することができます。つまり、疾病による形態上の変化が現れる前の微妙な兆候をより早期にキャッチすることが可能となります。

目的とした臓器などへのRIの分布を3次元的にとらえ、断層画像として表現する核医学検査には、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)とPET(Positoron Emission Tomography)があります。SPECT検査では1方向の放射線を放出するRIを用いるのに対し、PET検査は、2方向の放射線を同時に正反対の方向に放出するRIを用います。これらの検査に対し、4名の診療放射線技師と看護師が担当しています。

PET検査

PETとは、positron emission tomography (陽電子放出断層撮影) の略で、放射能を含む薬剤を用いる、核医学検査の一種です。CT検査などでは形の異常を診るのに対し、PET検査では、ブドウ糖代謝などの機能から異常をみます。
がん細胞は正常細胞の3〜8倍ものブドウ糖を摂取する性質があります。PETはその性質を利用した検査で、体内に放射性物質を組み込んだブドウ糖に類似した検査薬「FDG」を投与し、その集まり具合を見ることによって、全身のがん細胞を一度に調べることができるうえ、発見したがんの悪性の程度の推測も可能です。また、血管炎や、心サルコイドーシスを調べるのにも使われています。
PET-CT検査は、FDGの「代謝」を評価するPET検査と組織や細胞の「形状」を写し出すCT検査を同時に行うことで、両者の画像を組み合わせて精度の高い検査を実施することが可能となります。

PET-CT装置

当院では2020年2月中旬より最新鋭のPET-CT装置であるDiscovery MI-AM edition (GE社製) の稼働を開始いたしました。本装置はSiPM半導体PET検出器を搭載し,従来のPMT検出器搭載のPET-CT装置とは全く次元の異なる性能を持つ革新的なデジタルTOF-PET/CTです。また、得られたデータを次世代のPET画像再構成Q.Clearを用いて画像を作成することで優れた性能を発揮します。これらの新たな技術により、高分解能(小さなものを見つける能力)と高画質を実現し、臨床では、微小病変の早期発見や定量性の高い検査を行うことができます。

さらに、大きな特徴として呼吸による体動の影響をデバイスレスで低減することが可能となるAdvanced MotionFreeが搭載されています。本機能により、定量精度が30%向上し、呼吸性移動による空間分解能の劣化を67%改善したと報告されています。
       
ファントム 
人体を模したファントムを長時間撮像した画像です。従来の装置に比べて新機種ではより小さな集積が視覚的に確認できます。

検査の流れ

@受付 受付でお水をお渡しします。きれいな写真を撮るためにお飲みください。

A採血 血糖値を調べるための採血を行います。
    (血糖値が高いと十分な診断ができないことがあります。)

B注射 検査薬(FDG)を静脈注射します。

C安静 検査薬が体内に分布するまで約50分、安静にしていただきます。

D撮影 PET-CTの撮影(全身)を行います。撮影時間は20分ほどです。
    2回目の撮影が追加されることもあります。

検査前の注意事項

  • 前日は過度な運動はお避け下さい。         
  • 当日、検査前6時間の絶食をお願いします。ただし、糖分を含まないお茶や水の飲用は差し支えありません。         
  • 血糖値が高い場合は、診断の精度が低くなります。糖尿病もしくは、疑いのある方は、お申し出ください。         
  • 糖尿病治療薬以外の定期内服薬については、検査当日に服用されても結構です。         
  • 妊娠中あるいは妊娠の可能性のある方は検査ができない場合があります。検査前に必ずお申し出ください。         
  • 心臓ペースメーカーや植込み型除細動器を装着されている方は、CT検査ができない場合があります。検査前に必ずお申し出ください。

検査後について

検査薬の影響は、注射後2時間程度で半減しますが、多少は体内に残っています。日常生活には制限はありませんが、以下のことに注意をされ、お過ごしください。
  • 注射後8時間は、特に妊婦や小児との肌を密着させるような接触を避けてください。         
  • 授乳中の方は、検査後24時間は授乳をお控えください。(搾乳した母乳には影響はありません。)        

臨床例

(PET-CTの臨床画像は厚地記念クリニック 陣之内正史先生よりご提供いただいたデータおよびZurich University Hospital, Stanford Universityにて撮像されたデータを使用しています)

体幹部PET画像 
再発および転移の精査目的で撮像されたFDG-PETの画像です。従来の装置と比較して、新機種ではより病変への集積がはっきりしています。また、従来の装置では確認できなかった小病変が視覚的に認められます。
      
頭部PET画像 
FDG-PET検査における頭部領域の画像です。左の列が従来の装置、右の列が新機種の画像です。新機種の方がより高分解能でコントラストに優れています。

呼吸同期機能の有無による比較 
デバイスレスで呼吸同期撮像を行うAdvanced MotionFree機能の有無による画像の比較です。本機能によって呼吸性移動の影響が低減され、より集積が強く輪郭がはっきりして見えます。

シンチグラフィ・SPECT検査

シンチグラフィとは、放射性同位元素(RI)で標識された薬剤を体内に投与した後、放出される放射線を画像化することによって薬剤の分布を調べる検査です。薬剤の種類によってどの臓器に分布し、どのような機能を反映するかが決まり、検査目的に応じて使用する薬剤を選択します。シンチグラフィの断層撮影のことをSPECTと呼び、異常に薬剤が集まっている部位を詳しく見ることができます。

当院では、SPECT装置とCT装置を組み合わせたSPECT-CT装置を導入しています。腫瘍や各種臓器の活動性といった機能診断に適したSPECT画像と体の構造を調べる形態診断に適したCT画像を融合することによって、高精度の診断が可能となります。当施設では2台のSPECT-CT装置が稼働しており、検査目的・薬剤に応じた検査プロトコールを組んで検査を行っています。画像を作成するのみでなく、収集データをソフトを用いて解析することにより血流動態や臓器の活動性等を数値化することが可能となります。

SPECT装置概観

代表的な検査

・脳血流シンチグラフィ

脳の各部位における血流状態を見る検査です。CTやMRIではとらえられない早期の脳血管障害ならびに神経症状の責任病巣などの検出、脳の機能評価に有用です。脳梗塞、脳出血などの脳血管障害、精神疾患、てんかん、痴呆などの脳の病気の診断、病状の評価、治療効果判定に用いられます。

脳血流シンチグラフィ(SPECT+CT 融合画像)
脳血流シンチグラフィ(SPECT+CT 融合画像)


脳血流シンチグラフィ(3D-SSP)
脳血流シンチグラフィ(3D-SSP)
健常データベースと比較して、血流量の少ない部位を調べています。


・骨シンチグラフィ

薬剤が骨の代謝が盛んな部位に集まる性質を利用して、骨腫瘍や骨の炎症、骨折の有無などを調べる検査です。悪性腫瘍の骨転移検出を目的に実施される場合が多く、他に原発性骨腫瘍やX線撮影で検出されにくい疲労骨折の検出にも使われます。

骨シンチグラフィ(BONENAVI2)
骨シンチグラフィ(BONENAVI2)
異常集積部位を赤く表示しています。

・心筋血流シンチグラフィ

心臓には心筋に血液を供給する冠状動脈という血管があります。この血管が急に詰まると急性心筋梗塞になります。また、運動した状態で血流が乏しい状態が続くと虚血性心疾患になってしまいます。このような状態を把握するために行われる検査です。また、冠状動脈の予備能を診る術前評価、心筋梗塞後の梗塞範囲の同定、さらには、心臓の治療効果判定、心不全における病態の程度・予後評価などに用いられます。

心筋血流シンチグラフィ(長軸面垂直断層像)
心筋血流シンチグラフィ(長軸面垂直断層像)
心臓を縦切りしたSPECT画像です。
負荷時に低集積、安定時に集積が回復していることは虚血状態であることを示しています。

心筋血流シンチグラフィ(Heart Score View)
心筋血流シンチグラフィ(Heart Score View)
Bull's eye(極座標表示)でそれぞれの画像を比較しています。
一般撮影のページへ CTのページへ
MRIのページへ 血管造影のページへ
放射線治療のページへ Page Topへ

高知大学医学部附属病院高知大学医学部附属病院放射線部

〒783-8505
高知県南国市岡豊町小蓮185-1
TEL 088-866-5811