学び360度! 先輩たちの声
大学での学び方や先生との関係、農学生生活、サークルなどなど……。
高校とは違う大学でのリアルな生活を先輩たちに聞いてみました。

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めざせ!次世代のグローバルリーダー
ー進化するキャンパス内国際交流ー

農業分野から環境中に流出するマイクロプラスチックを追う

SAYFULLAEVA BARCHINOYHON

サイフライエバ・バルチノイホン
修士1年(2024年度) 流域水工学研究室所属

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母国ウズベキスタンと日本、どちらでも通用する農学研究がしたいと高知大学に進学したBARCHINOYHONさん。 大学院での研究生活について教えてもらいました。

Q どうして高知大学に?

私は母の留学に伴い、小学生の頃に日本に来ました。農学を目指した理由は、ウズベキスタンと日本のどちらにも貢献できる仕事をしたいと考えたことです。ウズベキスタンでは農業が盛んですが、農業で水を使いすぎて干上がってしまった海――アラル海があります。農業の課題が多い国なので、その解決に貢献できるような知識や技術を身につけたいと思いました。
高知大学を選んだのは、高校の先生からのアドバイスがきっかけです。農学を学ぶなら、多様なフィールドを有している高知大学がいいのではと勧められ、進学を決めました。

Q 取り組んでいる研究テーマは?

私は、農業生産のベースとなる流域環境や水工学に興味を持っており、その分野の中で、研究テーマを見つけていきました。
今、取り組んでいるのは、農業分野から出るマイクロプラスチックの問題です。田んぼや畑などに使われた肥料、農業用シート、あるいはビニールハウスなどから、実はマイクロプラスチックが環境中に流出しています。その隠れたマイクロプラスチックの汚染源がどこにあるのかを探していくことがテーマです。

Q 学びや研究の環境は?

実は私は、学部生の時は今とは違う研究室に所属していました。けれど、自分の生活ペースや興味の方向性など様々な状況について先生と相談して、大学院で現在の研究室に移りました。これはイレギュラーなケースかもしれませんが、そういう柔軟性のある高知大学に感謝しています。 また、フィールド面でいうと、広大な物部キャンパスは水田や畑、果樹園など多彩な現場を有しており、私が研究している水路もあちこちにあります。

Q 海外での学会活動などは?

この11月に、タイのカセサート大学で行われた、高知大学、カセサート大学、韓国の国立慶尚大学校の3大学合同シンポジウムに参加しました。テーマは、「Smart Forestry, Agriculture and water Management」。研究者だけでなく、大学生や大学院生もたくさん来ていました。
私は昨年卒業された先輩の代わりに研究発表を行いました。会場からは、マイクロプラスチックの計測方法や、今後の対策についての具体案について質問が来て、難しかったですがなんとかうまく答えることができたと思います。
興味深かったのは、カセサート大学の学生の中に、同じマイクロプラスチックの河川への流出について研究をしている人がいたことです。タイには雨季と乾季があるのでそれによって流出量が変わるのではと私は思ったのですが、結果は気候による偏りはなかったという報告でした。それが不思議で質問をしましたが、理由はよくわからないとのことでした。
韓国の大学からは、スマート農業の研究発表が多く、特にイチゴとケールの報告が印象的でした。

タイ・カセサート大学でのシンポジウムの様子

Q 様々な経験は、自分にどう影響した?

シンポジウムでの体験を通じて感じたことは、やはり語学力を高めることの重要性です。私は家ではウズベク語と英語、大学では日本語と3つの言語を話しますが、研究においては英語力がまだまだ足りないと感じました。国際的な学会などの場で語学力が足りないと、質問などもためらってしまいがちです。それではもったいないし悔しいので、自信を持って発表や質疑応答ができるレベルまで向上させたいと思っています。
また、どちらの大学も研究発表の資料のクオリティがとても高く、刺激を受けました。1年後にまた同じシンポジウムが開催されるので、その時にはさらに成長したい自分になっていたいと思います。

Q 今後の展望は?

農林海洋科学部の先生方は、皆さん学会や出張などで、どんどん海外に出て行かれています。今の研究室の先生もとてもアクティブな先生で、私も影響を受けて、留学や博士課程への進学も挑戦したいという気持ちが強くなりました。
学部生時代の研究室でも、先生が世界に目を向けておられ、海外から来た研究者の方も在籍していたので、よく留学生同士、研究者同士のコミュニティアプリの話や、キャリアの積み上げ方などの話を教えてもらいました。
私は将来、母国のウズベキスタンや日本に貢献できる開発コンサルタントなどの仕事に就きたいと考えています。いずれは海外での就職を視野に入れていますが、まずは今ここでしっかりと学び、日本で経験を積んでから、世界に出ていけたらいいなと考えています。

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