地球掘削科学国際研究拠点

高知大学 海洋コア国際研究所

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研究・教育活動

研究活動

重点研究プロジェクト(K-CoP)

我が国が科学海洋掘削によって取り組む科学テーマ「気候環境変動」「地震津波」「地球生命科学」に関する重点連携コアプロジェクトを新たに立ち上げ、新たに迎えた兼務教員・客員教員及び、関連コミュニティの研究者、及び全学と連携して国際的な研究を推進します。



●K-Cop-1●温暖期における環境激変の実態解読と気候変動の分岐点の解明 
研究代表者 池原 実(高知大学)
概要  地球史上の温暖期に焦点を絞り、深海掘削コアや陸上掘削コアなど地質試料の解析から古環境変動を復元し、急激な海面上昇や気候変動を引き起こすキープロセスとそれらのティッピングポイント(分岐点)を解き明かす。完新世、最終氷期、最終間氷期(12万年前)、酸素同位体ステージ11(40万年前)、中期中新世温暖期、始新世温暖期などを主な対象とし、北西太平洋、南大洋、南太平洋などの海洋コア、南極湖沼コア、モンゴル湖沼コア、グリーンリバー層掘削コアなどの詳細解析によって、古気候古海洋変動の連続記録を抽出し、キープロセスの変動様式を復元することで、過去に起こっていた急激な氷床融解や気候ジャンプの実態を明らかにする。また、古環境記録を抽出するための微小領域分析手法の検討と地質試料への応用研究を展開する。


●K-Cop-2●沈み込み帯における地震と津波の発生機構・履歴・災害史の理解
研究代表者 橋本 善孝(高知大学)
概要 本研究グループは、沈み込みプレート境界地震発生メカニズムと過去の地震の履歴および災害史を理解し、自然災害と地域の人々の営みとの関りを明らかにすることを目的とする。対象とする地震は通常の巨大地震とスロー地震の両方を含む。野外調査、観測、掘削、実験等の手法を用い、総合的な理解を目指す。研究テーマは大きく区分すると以下の3つに分けられる。
1. 観測による沈み込みプレート境界地震の実態把握
地球物理学的遠地観測や研究航海によるデータを用いて、沈み込みプレート境界地震の実態を把握するとともに、地震発生場の環境に関わる情報を収集する。
2. 野外調査・掘削・実験等、物質科学に基づく沈み込み帯地震発生メカニズムの解明
野外調査による地質の把握および試料採取、掘削コアの記載とコア試料の採取、およびそれらの試料を対象とした室内実験あるいは様々な分析を行うことによって沈み込み帯地震発生のメカニズムを明らかにする。
3. 津波堆積物の物質科学による歴史地震の解明
津波堆積物を物質科学的に認定するとともに広域対比し、地質時間スケールでの歴史地震を明らかにする。また、水中考古資料や石碑などの歴史地震記録を整理し、地域住民の防災意識を高めることに資する。
これらを総合することによって沈み込みプレート境界地震のメカニズム・履歴・災害史に関する理解を深めていく。


●K-Cop-3●海洋・海底下生命圏の全容解明:バクテリア・アーキア・単細胞真核生物群の進化・生物機能の解明
研究代表者 氏家 由利香(高知大学)
概要 海は生き物の宝庫であり、地球環境を左右する重要な役割を果たします。この海の中で、微小な生き物は、様々な物質や他の生き物と相互に作用しながら海洋生態系の基盤を築き、地球規模で炭素などの物質循環を駆動しています。この物質循環には、人類から排出される炭素や分解されにくいプラスチックなどの廃棄物も関与しています。近年、海洋でも分子生物学的な研究が進み、海洋微生物が非常に多様であることがわかってきましたが、深海や海底下深部などは依然未踏の領域が多く、未知の代謝メカニズムも多いと期待されています。そこで、本プロジェクトでは3つのサブテーマを掲げ、海洋表層から海底下を含めた全海洋における微生物の生息範囲の広がり、多様性、代謝メカニズムの検証を行い、地球・生命の進化、地球環境・人間社会との相互作用を解明することを目的とします。
1.海洋生物圏多様性:海洋/海底、海洋中の極小環境(マリンスノー・フィコスフェア・プラスティスフェア)にどのような微生物が分布するのか?その多様性や適応メカニズムの解明を目指します。海洋を動的に捉え、微生物の物質循環や生物の移動拡散の理解を深めます。
2.生物と環境の相互作用:海洋微生物が持つ遺伝子の機能、代謝メカニズムや代謝産物について、トランスクリプトーム解析やバイオアッセイ、有機・無機化学分析など多角的な手法で解明します。代謝産物は生態や環境条件を反映し、堆積物中に保存されることもあるため、地球史や地球環境変動などの分野横断的な研究発展も目指します。
3.人類社会への寄与:微生物による海洋ゴミのバイオレメディエーションや生分解性能の強化を関する研究を行います。また、微細藻類細胞表面の糖鎖を特異的に認識・吸着するウイルスタンパク質や、微生物の代謝産物の探索・検証実験を通して、創薬プラットフォームの構築といった海洋生命圏科学―医学を横断する海洋医学の創出を目指します。