例えば、自宅にいながら、植物工場の温度や湿度を管理したり。養殖している魚に遠隔操作で餌を与えたり。
農林水産業は、DXによって大きく様変わりしようとしています。
DX=デジタルトランスフォーメーションとは、IT技術を人々の生活に浸透させることで、より良い社会に変革させようという考え方。
就農・就漁人材の不足や厳しい気候変動への対応が求められている農学・海洋科学分野でも、課題解決に向けて、DXの概念を積極的に取り入れ、活用していける技術の開発や人材へのニーズが高まっています。
高知大学農林海洋科学部では、実学重視の専門教育にデータサイエンス教育をプラス。
生物生産、持続的資源開発・利用、環境保全に関わる先端的知識と技能の修得に加え、DS(データサイエンス)や一次産業DXに関する科目を新たに提供し、農学・海洋科学における高度な専門性だけでなくDS・DXの知識や技能を有し、生物生産システムのスマート化や社会の発展のための新技術の開発・普及を牽引できる未来型人材の育成を目指します。
農林海洋科学部長 /
大学院総合人間自然科学研究科農林海洋科学専攻長
農林海洋科学部は令和5年4月にリニューアルしました。今回の主な改革は以下の三点です。
第一の改革は、近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)などのイノベーションに対応できる能力を強化するため、学部全体でデータサイエンス(DS)とそれに基づく一次産業DXの教育を強化しました。
第二の改革は、従来の農林資源環境科学科と農芸化学科を統合して農林資源科学科としました。
さらに本学科に経営・マーケティング科目群を配置し、フィールドでの生物生産から生産物の高付加価値化、さらに六次産業化に不可欠な広範な知識を修得できるようにしました。また、高知大学IoP共創センターとの連携により、本学科に「次世代農業教育プログラム」(Education Program for Smart Agriculture (EPSA))を設置し、最先端の施設園芸とその関連分野および一次産業のDXを実践・牽引できる高度な知識と技能を学べるようにしました。
第三の改革は、高知県への人材輩出を促進するために、農林資源科学科に新たに地域枠を設定しました。これにより高知県へ輩出する人材の数を倍増させることを目指しています。
新しい農林海洋科学部では、山から海までの広範なフィールドを有する高知県のメリットを活かして、農林資源・海洋資源の有効活用による持続的社会の創造を志し、農学・海洋科学に関わるDSやDXの知識を持ち、農林資源・海洋資源の持続的開発・利用や環境保全等の諸課題に対応できる豊かな知識と技能、実践力を併せ持った人材を育成していきます。
学生の皆さんが身に着けた専門知識をもとに、「地域」と「世界」の発展に貢献できるたくましい社会人に育つよう心より願っております。