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日本麻酔科学会 「第60回学術集会」 in 札幌

2013.05.23~2013.05.25

日本麻酔科学会参加報告

5月23日~25日に札幌市で開催された日本麻酔科学会に参加してきました。
5月23日の昼に札幌入りし、まず、矢田部先生が講演されるJAシンポジウムのERASのセッションに参加しました。 日本で最初にERASの概念を提唱した谷口先生から、術後管理の更なる向上を目指したModified ERASについての講演がありました。このプロトコールは術前輸液の廃止、鎮静剤なしでの歩行による手術室入室、積極的な炭水化物のローディングはしないというものでした。ERASとの合併症の比較を検討しましたが、明らかな悪化はなく、ERASに比べて鎮痛剤の使用回数が減少したこと、絶飲食期間が短縮されていました。
次に、矢田部先生による術前の炭水化物負化と血糖、体温管理についての講演がありました。このなかで、術前炭水化物負荷は術後予後の改善につながることはよく知られているが、近年のトピックスとして、食事摂取による熱産生の効果が言われており、アミノ酸、フルクトース摂取により低体温予防効果があるということを述べられていました。 その後、静脈麻酔のセッションに移り、当院卒後臨床研修センター所属の松沢先生によるデクスメデトミジンと認知機能についての発表がありました。
また、このセッションはプロポフォールに関する議題が多く、①ディプリバンの効果は輸液による希釈によって増強されること、②レミフェンタニルとケタミンの先行投与はプロポフォール急速投与時の血管痛を減弱させること、③筋弛緩薬を使用せずにレミフェンタニルとプロポフォールによる気管挿管を施行し、挿管成功率をまとめた演題等もありました。

5月24日は午前中に機器展示を見学しました。
まず、経食道心エコーのデモンストレーションがあり、人体の模型にエコーを挿入すると、心臓の描出部分が分かる仕組みになっていました。また、弁膜症、不整脈等の状態での血流のなどを示すこともでき、教育用として優れていると実感しました。
さらに、Mac Grathの展示もあり、同行していた初期研修医には実用性の点でかなり好評な印象でした。また、フロートラックのコーナーでは心臓手術で輸血や、昇圧剤投与などを行い、変化をみていく症例形式のデバイスもありました。他にもエコーガイド下の硬膜外穿刺のデモンストレーション等もあり、華やかな印象を受けました。  午後からは優秀演題のなかのペイン緩和、局所麻酔のセッションに移り、山崎先生によるラット神経障害性痛モデルの痛覚過敏様行動に対するリハビリテーションの効果についての発表がありました。優秀演題という素晴らしい結果でしたが、慢性痛といった理解しやすい内容であったことと、質疑応答でのやりとりが最もスムーズであったと感じました。また、このセッションでは岡山大学医学科の3年生が発表を行っており、堂々とした態度に刺激を受けました。

5月25日はPONVと術後摂食のセッションのなかで荒川先生による麻酔方法の違いが婦人科術後経口摂取に与える影響に関する検討についての発表がありました。このセッションでは他に①レミフェンタニル投与量はRALS術後の悪心嘔吐発現に影響を及ぼさない、 ③硬膜外持続投与患者において術中のフェンタニル投与量とフェンタニルを含む硬膜外持続投与量が術後嘔気嘔吐および術後の初回食事摂取量に与える影響といった発表もありました。
 今回、日本麻酔科学会に参加して感じたのは、これから求められる麻酔は術後の患者さんの状態をより良いものにするために術中の鎮痛等の程度をいかにバランスよく行うかが求められているということでした。まだまだ麻酔科医としては未熟者ですが、私も今回の学会で学んだことを生かして日々の麻酔管理に生かしていこうと思います。
文責:山中大樹

日本麻酔科学会第60回学術集会に参加して
高知大学医学部医学科3回生
麻酔科リサーチコース
高橋 康大

日本麻酔科学会第60回学術集会(2013年5月23日~25日)に参加させていただきました。高知を出発した時の気温は30度近くあり夏を感じる陽気でしたが、開催場所の札幌は同じ時期とは思えないほど肌寒く、上着が必要なくらいでした。

発表は初日の9時開始だったため、早めに会場に行ってポスターを掲示したり発表練習をしたりと準備をしました。私の発表はポスターディスカッションというもので、発表会場内のディスプレイに写されたスライドを用いて発表するものでした。開始時間が近づくにつれて会場内に人が少しずつ集まってきて、緊張感も増してくる中で、自分の番になり発表を行いました。座長がうまく進行してくれたこともあり、スムーズに発表を終えることができました。ただ、質疑に対しては自信をもって答えることができず、河野先生に説明してもらった箇所もあったので、もう少し研究内容について理解を深めておいた方がよかったと思いました。

私は麻酔科リサーチコースに入っている学部3回生です。学生の身分であるにも関わらず、このような発表の機会を与えてくださったことに感謝しています。普段の研究では、指導して頂いている河野先生と時間を合わせるため、ほとんどは夕方以降から実験のセットアップ、データの収集、そしてデイスカッションを行いました。疲れているにも関わらず、理解できるまで根気よく指導して頂いて本当に感謝しております。週末、休みのも関わらず指導して頂いたこともしばしばありました。また、研究に関する情報収集、研究の組み立て方、うまくいかなかったときの対処など多くのことを学びました。研究助手のHaidong先生には研究に関する基本的な手技などを教えて頂きました。
発表にあたっては事前の準備が必要ですし、大変緊張するものですが、非常によい経験になりました。また、このような場に身を置くと、様々な研究に取り組んでいる方々の熱気が伝わってきます。その空気感が私にも伝染し、勉学に励む気持ちがふつふつと湧いてきます。この気持ちを冷まさないように、日々の勉強に取り組んでいこうと思います。
最後になりましたが、横山教授、河野先生、Haidong先生をはじめ麻酔科の先生方には、日頃から大変お世話になっています。貴重な機会をどうもありがとうございました。

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