2016.10.22-10.26
国際学会報告
米国麻酔学会 ASA 2016
小山 毅(高知大学医学部医学科5年)
Dream comes true! 感動のシカゴASA 2016
この度、アメリカ合衆国イリノイ州のシカゴで10 月22~26 日に開催された米国麻酔学会 (ANESTHESIOLOGY 2016 Annual Meeting: 通称ASA)という大きな舞台で研究成果 ”Dexmedetomidine can prevent cognitive dysfunction followingabdominal surgery in aged rats”をe-Poster Session で発表する機会を頂いたので報告させて頂きます。

学会会場にて横山教授らと
私は高知大学医学部の正規授業の専門科目「先端医療学コース」で麻酔科の研究チームから構成される周術期侵襲制御医学研究班 (班長: 横山 正尚 教授)に大学3 年生から所属し、研究に従事させて頂きました。研究班では実験手技の基本から始まり、文献の検索・読解方法、プロトコールの作成まで丁寧に指導して頂きました。また、周術期侵襲制御医学研究班では手術室・集中治療室を見学させて頂き、そこで生じた疑問をプロトコールに反映することができることが大きな特徴です。私は、高齢者の手術後に認知機能障害が生じることを学び、さらにその予防法がないことを聞かされ、是非この問題をテーマにしたいと考えました。その中で現在集中治療室において広く使用されている鎮静薬のDexmedetomidine に中枢性の免疫抑制効果があり、その使用が脳内炎症を軽減して術後認知機能異常を予防・抑制できる可能性をin vivo およびin vitro 系の実験で示すことができました。今回のASA での発表はその研究成果をまとめたものです。

発表の様子
今回、高知大学からは私の他に山中先生、長野先生、医学部3 年生の渡辺君の計4 演題が発表されました。シカゴまでは成田から約12 時間のフライトで日本との時差は14 時間でした。長旅の疲れと時差ぼけに加えて、初めての国際学会での発表と緊張の連続でした。e-Poster は事前に作成・提出したポスターを30分間の発表時間内で参加者と討論する形で行われました。また、討論期間中に中央のモニターで全員の前でプレゼンを行いました。英語での発表は事前に覚えていたつもりでしたが極度の緊張で何回も原稿を見ながらの発表となりました。質疑応答では、指導して下さった先生方の助けをもらいながら何とか切り抜けることができました。発表の最後に座長の先生から「Good presentation」という言葉を頂きました。次回はもっといいプレゼンをしたいと強く思いました。
学会の会場では他にも多くのポスター発表やセミナーが行われていて、同じ研究テーマであっても、解釈の仕方やアプローチの仕方が様々で国際学会ならではの多彩さを肌で感じることが出来ました。また、各研究分野の著名な研究者の講演を拝聴する機会にも恵まれ、世界の最先端がここにあるという印象を受けました。

ミシガン湖からの夜景
学会の合間にシカゴの観光も行いました。独創的な建築、歴史的な美術館、広大なミシガン湖と見ごたえ満点でした。また、シカゴのピザの大きさにびっくりしました。
今回のASA では日頃の自分の甘さを再確認させられるとともに、世界のレベルを感じることで今後医師として勉強していく上で目標とするものが見えたような気がしました。このモチベーションを持ち続け、しっかりと勉強していきたいと思います。
最後に、どんな時でも時間をつくって指導して頂いた、横山教授、河野先生をはじめ麻酔科の先生方に深く感謝申し上げます。