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胃癌(ステージⅡ、Ⅲ)に対するS-1術後化学療法

胃癌治療ガイドライン第3 版で、ステージⅡ、Ⅲ(pT1,pT3NO を除く)の胃癌に対して、手術からの回復を待って、術後6週間以内にS-1投与を開始する術後補助化学療法が推奨されています。
術後補助化学療法(adjuvant chemotherapy)は、治癒切除後の微小遺残腫瘍による再発予防を目的として行われる化学療法です。
本QIでは、S-1に加えて他の抗がん剤が加えられている場合、またS-1投与の目的が術後補助化学療法でなく、術後すぐの再発に対するものであった場合も実施としています。
 
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当院のS-1術後化学療法の実施率は、2011年100.0%、2012年92.3%でした。実施しなかった理由については、併存症によるもの7.7%で、他の抗がん剤による補助化学療法を実施しています。
当院での胃癌患者さんの治療に際しましては、基本的に胃癌治療ガイドラインを遵守して行うようにしています。S-1を用いた術後補助化学療法が困難な場合には、科学的根拠の示された他の薬剤を選択することもあります。また、カペシタビンとオキサリプラチンの併用療法が胃癌術後補助化学療法として使用できるようになりましたので、今後より適した薬剤選択が可能になっていくものと思われます。さらには、これまでの標準治療に加えてより良い恩恵を被ることができるかもしれない対象の患者さんに対して全国規模の臨床研究に参加できる状況があればお勧めすることもあります。いずれにしましても、患者さんにとって最善の治療を提供できるように常に考えています。

●測定方法

分子:S-1による術後化学療法が施行された患者数
  (S-1に加えて他の抗がん剤が加えられている場合、術後すぐの再発に対するものであった場合を含む)
分母:胃癌に対して根治手術を受け、組織学的に取り扱い規約ステージⅡ、Ⅲ(pT1,pT3N0を除く)の進行癌と診断され
   6週以内に退院した患者数
   院内がん登録で、「自施設において診断ならびに初回治療に関する決定・施行がなされた症例」
     または「他施設で診断確定され、自施設で初回治療方針に関する決定・施行が行われた症例」
 
※ 都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会Quality Indicator研究
  2011年症例解析結果、2012年症例解析結果に基づくデータより 
  参加医療機関による全体の実施率 2011年:62.8%(178施設) 2012年:67.2%(232施設)
  全体の結果は非実施の理由などは考慮していない実施率の値です。
 
(参考)
胃癌治療ガイドライン第3版