研究室紹介
高知大学医学部附属病院 産科麻酔科学講座は、妊娠・分娩に伴う痛みや合併症リスクを最小化し、母児双方の安全と快適さを追求するために設立されました。無痛分娩をはじめとする周産期麻酔全般に体系的に取り組み、県内の妊産婦の皆さまが安心して出産に臨める環境づくりを使命としています。
私たちはまず「安全性」を最優先します。妊婦さんの基礎疾患や妊娠経過、分娩の進行状況を丁寧に評価し、適切な麻酔法(硬膜外麻酔、脊椎麻酔、脊髄くも膜下硬膜外併用など)を選択します。そして、多職種が緊密に連携し、急な状況変化にも迅速かつ的確に対応できる体制を整え、安心・安全な医療の提供に努めています。
無痛分娩は妊婦さんが納得して選べる日常の選択肢であるべきと考えています。効果や副作用、適応と禁忌、想定しうるリスクとその低減策をわかりやすく説明し、一人ひとりの価値観と希望に沿った分娩計画をともに作ります。
診療の対象は、経腟分娩の産痛緩和だけにとどまりません。予定・緊急帝王切開の麻酔管理、前置胎盤・妊娠高血圧症候群・糖尿病合併妊娠などのハイリスク症例への周術期管理、産科出血や気道管理を含む合併症対策まで、周産期の“もしも”に備えた総合的なマネジメントを実践します。
教育と研究も柱です。産科麻酔の標準化と質向上をめざし、若手医師・助産師・看護師に向けたトレーニング、シミュレーション教育、症例検討会を継続的に行います。臨床研究では、無痛分娩の安全性・有効性評価、母体循環動態や鎮痛薬理の最適化、出血・血行動態管理などをテーマに、現場の課題解決につながる知見の創出を推進します。
地域連携も重視しています。院内の多職種連携はもちろん、県内医療機関や行政と協力し、安心して出産できる体制を地域全体で育てていきます。情報発信や窓口の整備を通じて、妊婦さんとご家族が信頼できる最新情報にアクセスできるよう努めます。
高知大学産科麻酔科学講座は、科学的根拠に基づく医療と、人に寄り添うコミュニケーションを両立させながら、これからも妊婦さんとご家族の「安全で満足度の高いお産」を支えてまいります。無痛分娩や麻酔に関するご相談は、どうぞお気軽にお寄せください。